超厚膜型の塗膜は防食の耐用年数に大きく影響する。塗膜の厚みと劣化の関係を解説


腐食環境において設備を長期にわたり保護する一般的な方法は、鋼材やコンクリートなどの基材に、塗装や樹脂ライニングによる防食処理を施すことです。本稿では、特に樹脂による防食効果と塗膜の厚みが、耐久性および耐用年数に与える影響に焦点を当てます。

(株)RSテックは、防蝕ライニング用樹脂の販売、防蝕設計、施工を一貫して行い、防蝕に関わるあらゆる問題解決を目指しています。お客様のニーズに合わせた最適な防蝕ソリューションを提供し、トータルサポートを通じて確かな安心をお届けします。

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防蝕塗膜の重要性

防蝕塗膜は、腐食環境下で使用される機器や構造物の耐久性を保つために非常に重要です。この塗膜は、鋼材やコンクリートなどの基材を湿気、化学物質、塩分、その他の腐食性の環境から遮断し、基材の劣化を防ぎます。適切な防蝕材料の選択と工法の適用により、設備のメンテナンスコストを削減し、長期間にわたってその機能と安全性を維持することが可能になります。

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塗膜が劣化していく過程

樹脂でコーティングされた鋼材が腐食性環境にさらされると、塗膜の劣化は通常、次のプロセスで進行します。

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塗膜と耐用年数との関係と厚膜にするメリット

重要な点は、腐食性物質の鋼表面への到達時間が塗膜の厚さの2乗に比例し、この到達時間を延ばすことができれば、塗膜の破壊を遅延することが可能になるということです。

塗膜が倍増すれば、腐食性物質が鋼表面に到達するまでの時間は4倍に、逆に塗膜が半減すれば、その時間は4分の1に短縮します。

塗膜の劣化は腐食性物質の透過だけに起因するわけではありませんが、塗膜の厚みを増すことは耐用年数を大幅に延ばし、結果として防蝕性能を高めることが理解されます。

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超厚膜で防食するならライニング材料

塗装仕様では、薄膜の塗膜を何層にも塗り重ね、その厚さを50ミクロン(マイクロメートル)から300ミクロン程度にするのが一般的です。これに対し、ライニング技術を用いると、1ミリメートル以上の分厚い塗膜を形成することが必須です。実際には、2ミリメートル、3ミリメートルといった、さらに厚い塗膜形成をすることもあります。

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物質の塗膜浸透速度は、塗膜の厚みの2乗に比例するとされています。

例えば、100ミクロンの塗膜を持つ塗装された表面と比べて、1ミリメートル(1000ミクロン)の塗膜を持つ防蝕ライニング表面では、理論的には腐食性物質が鋼表面に到達するまでの時間が100倍になります(厚みが10倍なので、10の2乗に相当)。実際には様々な要因が影響しますが、原理的にはライニングは通常の塗装よりも遥かに長い保護期間を提供することになります。

このように塗膜の厚さは腐食防止性能に直結し、特に過酷な環境下では防蝕ライニングを選択することにより、長期にわたる保護が期待できます。

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塗膜を厚くするメリット

メリット説明
長期的な保護腐食性物質の基材への到達が遅くなり、保護期間が長くなります。
耐久性の向上物理的な損傷に対する耐性が増します。
メンテナンスの削減長い耐用年数により、補修やメンテナンスの頻度が減少します。
環境条件への適応性極端な気候や化学物質に対する耐性が向上します。

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塗膜を厚膜にするデメリット

塗膜を厚くすることにはメリットだけでなく、施工が複雑になり、コスト効率が低下する可能性もあります。そのため、腐食環境に適した最適な塗膜仕様の選定が重要です。以下に、厚膜化のデメリットを表にまとめます。

デメリット説明
施工の難易度の増加厚膜の塗布は技術的に難しく、専門業者での施工や、専用の機器が必要になることがあります。
コストの増加厚膜の塗膜は塗料の使用量も増えるため、材料コストが高くなります。施工にも時間と労力がかかります。
過剰な仕様特定の環境では、厚膜の塗膜が必要以上に過剰な仕様となることがあり、経済的に非効率になる場合があります。
塗膜内応力硬化収縮など、塗膜内のストレス(塗膜内残留応力)が大きくなるリスクがあります。このような塗膜内のストレスを緩和(分散)させる機能を有している、あるいは工夫された仕様になっているかの判断が必要です。

超厚膜の塗膜の中に無機セラミックを配合するメリット

超厚膜の塗膜に無機のフィラーやフレークを配合することは、防蝕性能をさらに向上させる効果があります。この方法により、腐食要因物質の塗膜への浸透を効果的に抑制し、塗膜の全体的な耐久性を高めることができます。

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超厚膜型無機セラミック配合:RSJ#100エポキシライニング工法

当社の高性能エポキシライニング材料RSJ#100は、大量の無機セラミックを含んだ無溶剤の耐食性材料です。この材料を用いることで、一回塗りの工程で1ミリメートル以上の厚膜ライニングを実現できます。RSJ#100は、多様な化学薬品に対する強い耐性を持ち、湿潤環境や水中でも確実に硬化するという特長があります。

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RSJ#100エポキシライニング、その他の特長と優位性

1:耐薬品性

塩酸15%ガソリン
塩酸10%灯油
硝酸10%重油
硝酸5%石油エーテル
硫酸60%トルエン
硫酸40%キシレン
硫化水素ナフサ
アンモニア 水40%硝酸塩
亜硫酸ベンゼン×
苛性ソーダアセトン×
1年間浸漬試験の参考耐蝕表

2:水中硬化性

一般的な樹脂ライニングの防蝕材料では、湿潤環境下では硬化不良や密着不良で問題になることがありますが、RSJ#100耐食材料を使用することで、これらの問題を解消し、湿潤環境での施工が可能となり、不測の事態での選択肢が増えます。

まとめ

樹脂ライニング塗膜は、一般的な塗装に比べて約10倍の厚さがあり、腐食要因が基材に到達するのを大幅に遅らせます。この遅延は耐用年数の延長に直結します。

さらに、無機セラミックやフレーク材を配合した塗膜は、腐食要因の透過を抑え、硬化時の収縮に伴う内部応力を分散させ、耐摩耗性と耐熱性を向上させます。これらの特性により、超厚膜の樹脂ライニングは過酷な環境下での長期的な資材保護に最適であり、効果的な防食戦略の要となります。

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