耐食材料RS#200(不飽和ポリエステル)は、硬化後も柔軟性を保つことにより素地によく追従します。硬化剤と反応して三次元の架橋を作り、耐食性を持ち、速く硬化する特性があります。水、熱、化学薬品にも強いです。
強化ガラス繊維で積層することで、FRPライニングとして使え、引っ張り強度や耐衝撃性があります。また、ガラスフレークを配合することでフレークライニングとしても使用でき、幅広い防食ライニングシステムとしての利用が可能です。
更に、ビニルエステル樹脂(RS#300)を塗るための中間層としても使えるため、多重防食仕様もあります。
このようにRS#200(不飽和ポリエステル)は、様々な用途に対応できる多機能な耐食材料であることがわかります。それぞれの特性を活かすことで、使用する環境や要求される性能によって最適な防食ライニングシステムを選ぶことができます。
FRPライニングとしての利用では、強度と軽量さを兼ね備えた強化プラスチックを得ることができるため、産業機械や建築物などの部材として適しています。また、フレークライニングとしての利用では、薬液の不透過性に優れるため、化学工業や水処理施設などでの利用が考えられます。
多重防食仕様としての利用では、ビニルエステル樹脂(RS#300)と組み合わせることで、更に高い耐食性を得ることができるため、厳しい環境下での利用も可能です。
このように、RS#200はその特性を活かし、幅広い用途での防食ライニングシステムとして使用することができます。耐水性、耐熱性、耐薬品性に優れ、硬化後も柔軟性を保つため、様々な環境に適応できる素材です。
RS#200軟質不飽和ポリエステル材料の特長
カテゴリ | 詳細 |
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ラジカル重合反応による硬化 | ・促進剤や硬化剤の量で硬化速度調整可能 ・冬季でもスムーズな施工が可能 |
強化ガラス繊維の利用 | ・引っ張り強度、曲げ強度、耐衝撃性に優れた繊維強化プラスチックが手軽に製造可能 |
ガラスフレークの利用 | ・ガラスフレークを塗膜内に配合・配列し、薬液の透過を防ぐフレークライニング仕様が可能 ・ガラス繊維積層の手間省略 |
RS#200のラジカル重合硬化とは?
不飽和ポリエステル樹脂が硬くなる過程は「ラジカル重合硬化」といいます。これは、特定の反応を利用して樹脂を固める方法の一つです。
- イニシエーターと呼ばれる物質を使って反応を始めます。イニシエーターは熱や光のエネルギーで分解し、ラジカル(不対の電子を持つ分子)ができます。
- できたラジカルが樹脂の分子と反応して、新しいラジカルを作り出します。
- 新しいラジカルが次々と反応を続けて、大きなネットワーク状の分子を作り上げます。これが硬化の過程です。
ラジカル重合硬化は、例えるなら、最初のドミノが倒れると、次のドミノが倒れ、そのドミノが倒れると、さらに次のドミノが倒れていくといった、ドミノ倒しのような連鎖反応といえます。この方法で硬化させると、硬化の速さを調整できます。これは、冬の寒い時期でも工事がしやすくなるといったメリットがあります。
RS#200の塗膜を軟質にする理由とその効果

「RS#200」という軟質の不飽和ポリエステル樹脂を使用したライニング(被覆)仕様は、下地が動いたり、樹脂が固まるときに収縮してしまうことにより生じる塗膜のストレス(テンションや圧力)をうまく分散させることができるシステムです。その結果、塗膜にかかる負担を軽減し、割れたり、剥がれたりするのを防ぐ助けとなります。硬い塗膜は割れやすく、また強すぎる塗膜は変形によって剥がれやすくなりますが、このライニングシステムはそういった問題を軽減する助けとなります。
RS#200を使用したFRPライニング
RS#200を使用したFRPライニングは、柔軟性のある応力緩和層となり、また強化ガラス繊維との併用により、均等な厚みを持ちながらも強靭で軽量な塗膜を実現します。これにより、あなたのプロジェクトはより耐久性があり、長持ちする仕上がりになるでしょう。
さらに、RS#200の上にビニルエステル樹脂をコーティングすることで、幅広い薬品に対する耐性を持ちながらも、バランスの取れた構造を作り出すことができます。軟質のRS#200が下地と硬いビニルエステル樹脂の間にあることで、適度な柔軟性を持ちつつ、全体の強度も保たれます。
結果として、RS#200を使用したFRPライニングは、美しい仕上がり、長持ちする耐久性、そして幅広い薬品耐性を兼ね備えた、理想的な選択肢となります。

軟質不飽和ポリエステルRS#200を使用したフレークライニング

フレークライニングは、強化ガラス繊維を用いた積層作業や、気泡を取り除く脱泡作業といった手間のかかるプロセスを省くことができる画期的な工法です。これは、樹脂に無機のガラスフレークを混ぜ合わせた特殊な材料を使用してライニングを施す方法であり、塗り工程のみで施工が完了するという大きなメリットがあります。
さらに、薬液が材料を透過し、下地を侵すことを防ぐ防食機能においても、フレークライニングはFRPライニングに比べて優れています。この防食機能は、特に化学工業などの薬液を取り扱う現場で非常に重要であり、フレークライニングの採用によってより確実な防食対策を講じることができます。
これにより、フレークライニングは従来のライニング工法に比べて、効率的かつ経済的な選択肢となり、さらに優れた防食性能をもたらすという利点も兼ね備えています。
フレークライニングの特徴
- 強化ガラス繊維による積層作業や脱泡作業を省くことができる。
- 無機ガラスフレークを樹脂に混ぜ合わせた特殊な材料を使用。
- 塗り工程のみで施工が完了するため、手間がかからない。
- 薬液が材料を透過し下地を侵すのを防ぐ防食機能が優れている。
- 化学工業などの薬液を取り扱う現場で非常に重要な防食対策を講じることができる。
- 従来のライニング工法に比べて、効率的かつ経済的な選択肢となる。
フレークライニングの効果
- 強化ガラス繊維による積層作業を省くことで施工が簡単。
- 脱泡作業が不要で、作業の手間が軽減。
- 塗り工程のみで施工が完了し、時間とコストの削減が可能。
- ガラスフレークが樹脂の中に均等に分散するため、厚みの均一なライニングが得られる。
- ガラスフレークが樹脂を補強し、高い強度と耐久性を発揮。
- 薬液の透過を防ぐ防食機能が優れているため、薬液によるダメージを防ぎやすい。
- 化学工業などの厳しい環境に対しても優れた耐性を発揮。
軟質不飽和ポリエステルRS#200フレークライニングは、特殊な方法で通常よりも大量のガラスフレークを配合し、整列させる技術により、樹脂ライニングに最適な硬さに調整された作業性のよい耐食皮膜を形成します。
RS#200を使用したフレークライニング仕様
フレークライニングを採用した場合でも、RS#200の軟質性が提供する抜群の柔軟性を最大限に活かした仕様を実現することができます。RS#200の特殊な配合により、硬化後も樹脂が柔軟性を保ち、様々な環境条件下でも割れや変形が少ないのが特徴です。
これにより、フレークライニングとRS#200の組み合わせは、優れた防食性能とともに、耐久性や適応性も高まり、長期間にわたり安定した性能を提供します。特に、動きや変形があるような環境での使用に適しており、その柔軟性によって裂けやひび割れを防ぎ、メンテナンスコストの削減にも寄与します。
RS#200を使用したフレークライニングは、高い技術力とノウハウに裏打ちされた信頼性の高い選択肢となります。

RS#200ライニングの施工上の注意点
RS#200を使用する際の注意点は下記の内容となります。
項目 | 注意点 |
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主剤と硬化剤の割合 | 主剤に対して硬化剤の使用料は1%程度で、非常に正確な計量が必要です。 |
空気中の酸素の影響 | 空気中の酸素が硬化を妨げるため、表面にベタツキが残ることがあります。流動パラフィンのような油分を混入させることで解決可能ですが、重ね塗りの際には油分を除去する必要があります。 |
発熱反応 | 不飽和ポリエステルの硬化は発熱反応であるため、爆発や火災の危険があります。火気に十分注意してください。 |
硬化収縮 | 不飽和ポリエステルの硬化収縮は大きいため、単純塗布やFRP施工時に過度な塗布を避け、クラックが入らないよう注意してください。 |
硬化阻害 | 水、タール、アミン(エポキシ樹脂の硬化剤)、酸素が不飽和ポリエステルの硬化を阻害するため、これらを避けてください。 |
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まとめ
RS#200(軟質不飽和ポリエステル)は、ガラス繊維を積層させて強化プラスチックのFRPライニングを作ることができるほか、塗料にガラスフレークを混ぜて塗膜に配合することでフレークライニングとしても利用可能です。この2種類の使用方法により、RS#200は柔軟性があり、さまざまな設備の防食ライニングに適応できます。
さらに、RS#200の軟質層を利用して、耐薬品性と耐溶剤性に優れたビニルエステル樹脂(RS#300)を塗布する際の中間層としても適しています。この組み合わせにより、割れに強く、高度な環境遮断性を持つ理想的な多重防食仕様が可能になります。
ただし、RS#200を使用した防蝕ライニング仕様は、知識と経験が求められる専門的なものです。弊社は、RS#200の施工に関するご相談も承っております。RS#200の詳細やご質問がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください