目次
- ビニルエステルとは?
- ビニルエステル樹脂の特徴
- ビニルエステル樹脂の耐酸性と耐溶剤性
- RS#300ビニルエステルライニング工法、3ステップ構成とは?
- 2種類のRS#300ビニルエステルライニング工法
- RS#300ビニルエステルライニング仕様例
- まとめ

弊社の耐酸ライニング工法は、特に劣化や腐食が進行している躯体を対象に、独自のビニルエステルライニングシステムで最適なメンテナンス仕様を提供します。弊社のビニルエステル樹脂「RS#300」は、乾燥後の機械的物性に優れ、幅広い薬品耐性を持っており、特に耐酸性と耐溶剤性が求められる場合に最適な解決策となります。
このライニングシステムは、脆弱になった躯体にただ厚膜の耐食層を付けるのではなく、プライマー「RS#123」を用いて躯体を強化し、その上で軟質不飽和ポリエステル「RS#200」によって応力緩和層を形成し、最終的に耐食ビニルエステル「RS#300」を塗布するという、徹底した構成が特長です。これにより、それぞれの樹脂が互いの弱点を補完し合い、理想的な耐酸仕様を実現することができます。
このビニルエステルライニングシステムは、高い耐食性と優れた機械的物性を兼ね備えており、さらに各樹脂の特性を活かした多層構造によって、より高い耐久性を提供します。これにより、劣化や腐食に強く、長期にわたって安定した性能を発揮し、メンテナンスコストの削減にも寄与します。
また、弊社ではお客様のニーズに合わせたカスタマイズも承っております。お気軽にご相談いただければと思います。
ビニルエステルとは?
ビニルエステル樹脂は、ビニルエステルモノマーを主成分とした樹脂で、熱硬化性のプラスチックの一種です。ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂と同様に、優れた機械的強度と耐化学薬品性を有しており、FRP(Fiber Reinforced Plastics)のマトリックス樹脂として使用されることが多いです。
また、ビニルエステル樹脂は、耐水性や耐熱性も優れているため、船舶やタンク、パイプなどの製造にも用いられます。その他、防蝕ライニングの耐食材ろしても利用されます。
ビニルエステル樹脂の特徴
ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂とアクリル酸の反応で生成され、スチレンで溶解された合成樹脂です。この樹脂はポリエステル樹脂の作業性とエポキシ樹脂の強度を兼ね備えており、ビニルエステル樹脂は以下の特徴を持っています。
- 優れた耐腐食性: ビニルエステル樹脂は、耐酸性、耐アルカリ性、耐塩性に優れており、さまざまな化学薬品に対して高い耐性を示します。
- 優れた耐熱性: ビニルエステル樹脂は、高温環境下でもその性能を維持することができ、耐熱性に優れています。
- 高い機械的強度: ビニルエステル樹脂は、高い引張強度、曲げ強度、衝撃強度を持ち、軽量でありながら優れた機械的強度を持ちます。
- 優れた接着性: ビニルエステル樹脂は、さまざまな材料に優れた接着性を持ち、補強材料との結合強度が高いため、FRP(繊維強化プラスチック)の製造に適しています。
これらの特徴から、ビニルエステル樹脂は幅広い分野で使用されています。
ビニルエステルの耐酸性と耐溶剤性
ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂とポリエステル樹脂の良い特性を併せ持つ樹脂で、特に耐酸性と耐溶剤性が優れています。
- 耐酸性: ビニルエステル樹脂は、多くの酸に対して非常に高い耐性を持っています。エポキシ樹脂と比べても耐酸性が高く、強酸による腐食から設備を保護するのに適しています。そのため、化学工業や廃液処理施設など、酸性の化学薬品を取り扱う環境での利用が多いです。
- 耐溶剤性: ビニルエステル樹脂は、架橋密度が高く、樹脂の網目構造が密になり、溶剤が樹脂の内部に浸透しにくくなるため、耐溶剤性が向上します。また、ビニルエステル樹脂は架橋反応が進行しやすいため、硬化後の網目構造がより密になります。これも耐溶剤性を高める要因となっています。
これらの耐酸性と耐溶剤性により、ビニルエステル樹脂は、厳しい環境条件下での使用に適した樹脂といえます。
RS#300ビニルエステルライニング工法、3ステップ構成とは?
弊社のRS#300ビニルエステルライニングは、3ステップの独自の構成で躯体を保護します。
- まず最初に、プライマー「RS#123」を使って躯体を強化します。このプライマーを躯体表面に何度も塗り重ねることで、表面が密度を増して固まります。すると躯体の表面がしっかりと強化され、次に塗る材料がきちんと密着します。
- 次に、軟質不飽和ポリエステル「RS#200」で応力緩和層を形成します。これにより、躯体にかかる様々なストレスや負荷が軽減され、中間層をしての役割を担います。
- 最後に、耐食ビニルエステル「RS#300」を塗布して耐食層を形成します。これにより、躯体が腐食から保護され、さらに長持ちするようになります。
この仕様は、3つの異なる樹脂を組み合わせることで、躯体を保護し強化する多重防蝕機能を実現しています。それぞれの樹脂が持つ耐食性と塗膜の特性が組み合わさり、躯体をより長く、より効果的に保護することができるのです。これが弊社のRS#300ビニルエステルライニングの強みです。
工程 | 材料 | 目的 |
---|---|---|
1. 躯体強化 | プライマー「RS#123」 | 躯体の強化 |
2. 応力緩和層形成 | 軟質不飽和ポリエステル「RS#200」 | 応力緩和 |
3. 耐食層塗布 | 耐食ビニルエステル「RS#300」 | 腐食からの保護 |
2種類のRS#300ビニルエステルライニング工法

1.フレークライニング工法
フレークライニングは、材料にガラスフレークやその他のフレーク状のセラミックを大量に配合し、塗り込むことで厚膜層をシームレスに形成するライニング方法です。これらのフレーク状の材料をビニルエステル樹脂と組み合わせて塗布することで、乾燥塗膜内に透過防止バリヤ構造を作り出します。その結果、非常に優れた耐酸性と耐蝕性を得ることができるのです。
この透過防止バリヤ構造は、腐食性のある液体やガスが塗膜を透過するのを防ぎ、躯体を効果的に保護します。また、厚膜層が形成されることで、塗膜自体の耐久性も向上し、長期間にわたって高い保護性能を維持することが可能です。
フレークライニングは、FRP工法で必要とされる複数の積層工程や、バリ取り、脱泡作業などの工程を省くことができるため、シンプルで作業性に優れた工法といえます。これにより、作業の効率化が図れ、コスト削減にも寄与します。

2.FRP工法
FRPライニング(Fiber Reinforced Plastics lining)は、構造物の表面をガラス繊維や炭素繊維といった強化繊維で強化した樹脂で覆う工法です。これにより、対象となる構造物に耐腐食性や耐摩耗性をもたらすことができます。
特に、化学薬品や高温の環境下で使用される構造物において、その耐久性を大幅に向上させることができるため、非常に有効な手法となります。
また、FRP材料は軽量でありながら非常に強度が高いため、積層させることにより強固なライニング層を形成します。
これら2種類のライニング方法は、ビニルエステル樹脂を使用して躯体の保護と強化を図るもので、それぞれが持つ特性を活かして耐酸性と耐蝕性を向上させるための方法となっています。
RS#300ビニルエステルライニング仕様例

まとめ
弊社では、ビニルエステル樹脂「RS#300」を用いた耐酸仕様のライニング工法をご提供しています。その中で「RS#300FRPライニング」と「RS#300フレークライニング」の二つを解説してきました。
「RS#300FRPライニング」は、軽量で強靭な強化プラスチックを形成することができる工法で、耐摩耗性にも優れています。これにより、化学薬品や高温の環境下で使用される構造物の耐久性を大幅に向上させることができます
一方、「RS#300フレークライニング」は、塗膜内に防食バリア構造を形成することで、外部からの薬液の浸透を最大限防止することができる工法です。これにより、特に腐食が進行しやすい環境での使用に適しています。また、FRP工法で必要とされる複数の工程を省くことができるため、作業性に優れた工法といえます。
設備の防食用途に応じて、樹脂やライニング仕様を正しく選定することが重要です。弊社では、様々な工法のラインナップをご用意しており、お客様のニーズに合わせた最適なライニング仕様をご提案させていただきます。
ご質問、資料請求、お見積りなど、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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