溶剤と無溶剤の塗料の違いについて説明、ライニング材料で選ぶなら無溶剤を選択するべき理由

地球規模で環境破壊が進む現代で、防蝕塗料の分野においても、VOC削減は求められています。しかし現代でも溶剤型の塗料は多く、無溶剤型の塗料の方が、部分的に使用されているような傾向があり、塗料の無溶剤化はあまり進んでいない印象です。

弊社は防蝕ライニング材料を販売しておりますが、溶剤型と無溶剤型の材料があり、しっかりと使い分けしております。

溶剤型も無溶剤型もお互いメリット・デメリットがあります。

ここでは、溶剤型と無溶剤型の塗料の違いを詳しく紹介していき、腐蝕や劣化の環境遮断性を大きく求められるライニングの分野では、無溶剤型の材料をお勧めしています。

ライニング材料に、無溶剤型の材料をお勧めする理由についても詳しく説明します。

関連記事>>無溶剤RSJ#100エポキシライニング工法の解説はこちらから

関連記事>>塗装とライニングの違いについてはこちらから

溶剤とは

溶剤とは物質を溶かす液体のことです。塗料で言うと、塗料を薄める液体です。

塗料は「顔料」「樹脂」「添加剤」「水もしくは溶剤」の4つの成分で構成されています 。 油性塗料はシンナーを溶剤としており、水性塗料は水を溶剤として使っています。

溶剤塗料には、強溶剤と弱溶剤とがあります。

強溶剤塗料と弱溶剤塗料

強溶剤型の塗料はトルエン、キシレン、エステルなどの、強い溶解力のある溶剤が使用され、強い有機溶剤の臭いがします。 弱溶剤型塗料は、比較的溶解力が弱い溶剤を用いた塗料。 強溶剤型塗料と比較して臭気が少なく、旧塗膜への影響も少ないです。

塗料に溶剤を入れるメリット

塗料に溶剤を入れると、粘度が大幅に低下する為、作業効率が上がります。

塗りやすくなって仕上がりが良くなります。

弊社では無溶剤型のライニング材料を扱っておりますが、プライマーやトップコートをする際に、溶剤型の塗料を使用します。

塗料に溶剤を入れるデメリット

強溶剤であれ、弱溶剤であれ、溶剤の入った塗料で塗布した場合、その溶剤分は揮発して硬化します。溶剤を入れても全部揮発すれば、残ったものは無溶剤と一緒だと考えてはいけません。

塗膜の中の溶剤は全部揮発するわけではなく、滞在している溶剤は、水分を塗膜内に吸収しようとする為、水分透過を助長します。

また、溶剤が揮発した際の通り道や、溶剤が滞在していた部分は空洞となり、これもまた腐蝕性物質の透過を助長します。その他、塗膜内ストレス(残留応力)も多くなり、密着に影響し剥がれの原因にもなります。 したがって品質的、環境的な面でデメリットとなります。

水性塗料の現状

有機溶剤の健康被害を避けるために使用され、溶剤にしか溶けなかった樹脂を、水に分散させるタイプが水性塗料です。水または溶剤は蒸発して硬化します。

水または溶剤が蒸発して硬化するので、やはり水や溶剤が滞在していた部分や蒸発の際にできた通り道から腐蝕要因物質が透過しやすくなることについては溶剤型塗料と同じです。

また、塗料と水はもともと相性が悪く、逆に言えば、悪いから疎水性であり、防水性があるわけです。

高い水準で環境遮断を求められる、ライニング材料での使用は、性能面での課題があると考えられます。

無溶剤型塗料

無溶剤塗料とは、揮発性溶剤を含まない無公害塗料の一種です。 不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂、100%樹脂のエポキシ系、ウレタン系樹脂塗料等があります。

無溶剤型の塗料は溶剤を入れないことで、揮発する溶剤成分がほとんど含まれていないため、塗った厚みがほぼ乾燥後の厚みとなり、塗膜内の気密性が保たれることで、腐蝕要因物質が透過しにくい塗膜となります。

ライニング材料は、密閉空間での塗布や、防水性、耐薬品性、耐摩耗性などを求められることから、塗膜厚を厚くしたい部位に使用されます。材料によっては、塗膜中に無機物を配合させることにより、摩耗や防蝕性をさらに強化したものもあります。

このように、品質的にも環境的にもメリットが多い無溶剤型の塗料ですが、デメリットとしては、溶剤型の塗料と比べると、無溶剤型の塗料は粘度が高く、作業効率が悪いです。

厚膜に仕上げるライニング作業においては、技術と慣れが必要です。この点で塗料の無溶剤化が進まない、原因になっていると考えられます。

関連記事>>無溶剤RSJ#100無機セラミック配合エポキシライニングの詳細について

関連記事>>コンクリート防食RSJJ#100エポキシライニング工法の施工方法と注意点について

ライニング材料は無溶剤にするべき理由

塗装よりも、腐蝕や劣化の原因となる悪環境を、遮断することを目的としたライニング材であれば、水分や薬液や腐蝕性ガスなどが、塗膜内に透過してしまう原因になる溶剤が入った溶剤型塗料は適しません。

ライニングは1mm~2mm以上の厚膜にすることが一般的です。厚膜の塗膜に溶剤が入っていると、塗膜内に必ず揮発しきれなかった溶剤分が残存します。吸水率が上がり、溶剤が揮発した部分から、腐蝕要因物質が透過し塗膜内に入ります。腐蝕要因物質が素地に到達したら結果は目に見えてます。高い水準の環境遮断を求められるライニング材料は、無溶剤型が適しています。

弊社では、環境遮断層は無溶剤型とし、プライマーやトップコートは溶剤型にすることで使い分けています。

無溶剤型樹脂ライニング

無溶剤型樹脂ライニングの種類は、ゴムライニングやシートライニングなど多岐にわたりますが、弊社では塗膜内にガラス強化繊維を積層させるFRPライニングや、塗料に無機フィラーを配合させた特殊エポキシライニング、塗料に無機フレーク材を配合させたフレークライニングなどの、塗り工程で出来る樹脂ライニングを中心にご提案しております。

無溶剤エポキシ樹脂ライニング材料の魅力についてはこちらから

FRPライニングについてはこちらから 

フレークライニングについてはこちらから

それぞれの樹脂や工法には特徴があり、様々な腐蝕や劣化の環境遮断が可能になっております。

弊社では特殊なライニング材料を用意し、お困りの設備に対して、最適な樹脂とライニング工法のご提案をしております。

お気軽にご相談ください。

お問合せ