プラント設備における外面の塗装仕様は、塩害対策や耐候性、美観などを考慮した塗装仕様となっています。
塩害対策となると重防食塗装といわれ、プライマー・下塗り・中塗り・上塗りといった工程で塗り重ね、100µ~200µといった膜厚を付ける仕様で施工されます。
しかしそのような外面の重防食塗装であっても、局部的に腐食が進行してしまうケースをよく見かけます。
つまり塩害や耐候性以外の腐食要因があり、局部的に腐食が進行している状況があるわけです。
ここでは、局部的なサビが想定以上に進行してしまう錆の種類と、その対策について詳しく解説していきます。
弊社は塗装の材料は扱っておりませんが、防食ライニングの材料を取り扱っており、このような腐食要因が重複している場合の局部的な腐食対策には、ライニング材料をうまく使えば対処が可能になりますので、是非参考にしてください。
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局部的に錆が進行してしまう錆の種類
1:孔食
孔食は凹みなどがきっかけで、局部的に電池構造が形成され腐食が加速する現象です。
例としては、黒皮(ミルスケール)状態の鋼材をそのままにしておくと、やがて孔食します。黒皮材は表面の制度が粗く、凹凸が存在するため局部的に腐食電流の流れができ、電池構造が形成される為です。

2:溶接部の錆
溶接した部分は、熱の影響を受けているため、溶接された周囲(熱影響があった部分)と、そうでない部分に分かれます。つまり均一ではなく不均一ということになります。この場合、熱影響を受けた-極とそうでない部分の+極の電池構造ができるため、熱影響を受けた側の、溶接部分の腐食が進行します。
この現象は溶接だけではなく、溶断(カット)した周囲でも同じ現象になります。
このように、溶接ビード部は錆びやすい環境がそもそもあるため、薄膜の塗装では不十分な場合もあります。
塗装していたとしても、錆びの進行が止まらない場合には、外部からの環境を遮断する防食機能を兼ね備えたハイスペックな仕様にする必要があります。

耐食性を重視した構造物では、ステンレスを使用したものもあります。しかし、溶接構造物はやはり熱影響を受けてしまいます。
溶接する際にステンレス用の溶接棒を使用したとしても、焼きが入り(硬くなり)組織が変わります。残留応力(内部ストレス)がある状況では、応力腐食割れをおこす場合があります。
この場合、熱処理(固溶化熱処理又は低温焼鈍)をすることで内部応力の除去を行う事ができます。
ステンレス以外でも、強度を必要とする厚板の構造物などは、熱処理(応力除去焼鈍)を行うことで溶接割れを防ぐことができます。
3:異種金属腐蝕
金属は水素を基準にそれぞれが固有の電位を持っており、電位の低いものから高いものを並べて表したのが「イオン化傾向」です。

電気が流れやすい状況で、電位が大きく離れている金属同士が接触又は接近すると電位の低い側の金属が腐食進行していきます。このような現象を異種金属腐食(ガルバニック腐食)といいます。
どうしても異種金属同士を接触又は接近させる必要がある場合は、直接接触又は接近させても問題無いよう「絶縁」することをお勧めします。
絶縁性樹脂で絶縁するには、塗装のような薄膜の塗膜では収まらない場合がある為、超厚膜のライニング塗膜にして、異種金属同士の距離をとる必要があります。
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4:隙間腐蝕
隙間のような狭い空間がある場合、空気中の酸素は運ばれにくい環境となり、その他の部分は空気中の酸素が運ばれやすい環境となる。
このように酸素濃度が均一ではなく不均一になり、差がでることにより局所的な酸素濃淡電池構造が隙間にできるため、局所的に錆が進行します。

代表的な例としては、配管や鋼材などの取り合い部で、ボルト締めしてある箇所です。

局部的な腐食がある場合の部分補修に弊社のライニング材料
1:RS#123プライマー(ポリウレタン樹脂)

RS#123プライマーは1液タイプのポリウレタン樹脂塗料です。錆の進行がひどく、ケレンができない状況でも積極的に錆内に浸透し固着することで、錆びのポーラスな部分がポリウレタン樹脂で充填されるため、錆びの原因である水や酸素を密封することができ、それ以上の錆の進行を防止できます。
同じく隙間などにも積極的にしみ込んでいきますので、隙間の封止材としても使用できます。
また、錆びに樹脂が浸透し固着するため、上に塗る超厚膜の塗膜を支えるだけの強度が持続します。
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2:RSJ#100(特殊エポキシ樹脂)

RSJ#100は水中でも硬化する特殊エポキシ樹脂です。
通常粘度のタイプでも1度に1mm程度塗布が可能、粘度調整ができるためパテ状にすることもできます。無機セラミックが大量に配合されているため、硬化収縮を抑制できる機能を有し、部分施工であれば数ミリの超厚膜で環境遮断と絶縁性を実現できます。
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まとめ
防食ライニングはプラント設備で取り扱う薬品や廃液などによる腐食対策としてよく行われるため、主に槽やタンクの内面側を防食するケースが多く、高い水準の環境遮断を求められます。一方で塗装は外面を中心とした設備のほとんどを対象にするため、施工範囲も広大です。そのため腐食要因が重なり、局部的に錆が進行してしまうような部分に対しては、塗装の仕様ではカバーしきれない箇所が出てきます。このような場合には 、弊社のRS#123(ポリウレタン樹脂)とRSJ#100(特殊エポキシ樹脂)を持っていれば、いろいろな場面で対策が可能になります。
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