飽和ポリエステル粉体塗装、アルズコートの魅力と特徴

「アルズコート」とは、変性飽和ポリエステルを熱可塑性樹脂で粉体塗装したコーティングです。耐摩耗性、耐薬品性、耐候性に優れ、長期にわたり基材を保護します。塗布時に溶剤を使用せず、揮発性有機化合物(VOC)を放出しないため、環境に優しく無公害です。塗料の回収により廃棄を抑制します。長期防食の耐久性向上、火山地帯や海岸地域の塩害対策、環境対策として、室内外の様々な用途に適応し、エコでクリーンな防食コーティングとして期待されています。

樹脂は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分類されます。詳しい内容を、以下のリンクから確認できます。

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変性された飽和ポリエステルの、熱可塑性樹脂で粉体塗装された「アルズコート」は、優れた耐摩耗性、耐薬品性や耐候性に優れ、長期にわたり母材を保護することが可能です。

塩害対策に飽和ポリエステルの粉体塗装が効果的である内容を、以下のリンクから確認できます。

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飽和ポリエステル粉体塗装の特長

  1. 耐久性が高い
    • 飽和ポリエステル粉体塗装は、塗膜の耐衝撃性、耐摩耗性が高いため、長期耐久性を目的とする製品に適しています。
  2. 塗布効率が高い
    • 飽和ポリエステル粉体塗装は、加熱された製品を静電気吸着による静電塗装、または流動浸漬法で塗布するため、塗着率が高く一度に厚膜の塗膜形成を可能にしています。塗料の無駄が少ないというメリットも特徴です。
  3. 環境に優しい
    • 飽和ポリエステル粉体塗装は、塗料(粉体)自体が揮発性有機化合物(VOC)を含まないため、大気汚染のリスクがなく、環境に優しい無害、無毒のコーティングです。
  4. 優れた耐候性
    • 飽和ポリエステル粉体塗装は、耐寒性(-40℃)があり、紫外線による劣化や色褪せが少ないという物性があります。また、強い塩害環境への耐性が非常に強いことでも知られています。
  5. 作業効率が高い
    • 飽和ポリエステル粉体塗装は、専用の加熱装置で製品を前加熱することで、塗着された粉体塗料が溶け、冷却することで固化するため、比較的短時間で塗装が完了します。塗装後の乾燥待ちが不要で、作業効率が高いというメリットがあります。
  6. 金属との密着性
    • 一般的な塗装で使用されるプライマーの必要がなく、金属に対して安定的で均一な密着性を得ることができます。
  7. 優れた薬品耐性
    • 強酸性環境への耐性があり、火山、温泉地帯の鋼製構造物にたいして、高い環境遮断性があります。

飽和ポリエステル粉体塗装工程

飽和ポリエステル粉体塗装は、製品の下地処理と前加熱さえ終えてしまえば、粉体塗料を一度に厚膜塗着させ、冷却(水冷)までを一連の作業で行うことができます。

一般的な塗装と違い、乾燥を待つ必要がなく、優れた作業効率性が特徴の工法です。

1:下地処理

ブラスト処理を行うことで、被塗物の表面積が増え、密着性が向上します。また、油分や異物がある場合は、シンナー脱脂等で除去します。

下地処理と密着性についての詳細は、別の記事にまとめてあります。以下のリンクから確認できます。

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2:前加熱

飽和ポリエステル粉体塗料の融点は230℃~265℃で、一般的な粉体塗料や、溶剤型の焼付け塗料の加工温度よりも高く、製品を前加熱する設定温度は、形状や質量等を考慮し、適切な温度設定が必要となります。

3:塗布方法

静電気吸着による静電塗装(ガン吹き)、または流動浸漬(ドブ漬け)で塗布します。

適切な温度で前加熱された製品の表面温度により、塗着された粉体塗料が溶け、液状の飽和ポリエステル膜を形成します。

4:冷却

液状の飽和ポリエステル塗膜が固まる前に水冷を行い、完全硬化された飽和ポリエステル樹脂皮膜が形成されます。

塗装直後から冷却作業までを流れ作業で行い、乾燥時間も無いため、作業時間の短縮が可能となります。

アルズコート、飽和ポリエステル粉体塗装の基本情報

粉体性能

項目性状
カサ比重(g/c㎥)0.5~0.6
比重(g/c㎥)1.32~1.38
融点(℃)230~265
中心粒形(µ)80~100
前処理脱脂・ブラスト・ケレン

加工条件

項目環境/状態         
加熱温度(℃)270~350
流動浸漬塗装時間(秒)2~5
静電塗装時間(秒)5~180
冷却水冷

塗膜性能表

項目物性            
膜厚(µ)300~1000
光沢度(%)90以上
引張破断強度(M㎩)52~62
伸び率(%)5~8
付着強度(M㎩)8以上
耐衝撃性(落下試験300g)80~120㎝
耐摩耗性(1000回転)60µ
絶縁破壊性(KV/mm)30
鉛筆硬度F~H

アルズコートの優位性

一般的なエポキシ粉体塗装や、ポリエステル粉体塗装は、比較的室内環境で使用され、外面で想定される耐候性や塩害に対しての用途では不十分な場合があり、使用する用途が限られます。

一般的な焼き付け塗装では有機溶剤を使用し、厚膜にすることが困難で、環境面においても、防食性においても、使用する用途は限られます。

アルズコートは、無害、無毒で、環境ホルモンの問題が無く、環境改善の目的で使用が可能です。また、耐候性、耐摩耗性、耐塩害性等で、防食の観点から、腐食環境を遮断する目的としての使用も可能です。

以上のことからアルズコートは、多岐にわたる用途の金物や、鋼製構造物に対し、様々な効果と改善が期待できるコーティングです。

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