(株)RSテックは、樹脂ライニングの耐食材料を扱っており、耐食性のある有機材料の中に、無機セラミックを配合させた防食材料のラインナップがあります。
「有機と無機を組み合わせたハイブリット材料」といった表現をしていますが、無機セラミックを配合させることにより、どのような効果や目的で、配合されるのでしょうか?
ここでは、防食ライニング材料において、無機セラミックを配合させるメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
有機塗料とは
有機塗料とは、炭素を主成分とする有機化合物から構成されています。一般的に有機塗料は、人工的な化学物質を使っているという意味で使われます。
有機塗料の中でも、防食ライニング材料においては、厳しい腐食環境等の、悪環境を遮断できる耐食性が求められます。エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂・ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などの塗料が該当します。
有機塗料の硬化による結合は、有機物質同士が結合するため、比較的柔軟性があります。
無機塗料とは
無機塗料は、無機化合物で構成された塗料のことです。無機塗料は、耐火性や耐候性に優れ、化学的に安定性が高いため、防火や耐熱の分野で広く使用されています。また、無機塗料は、VOCを含まず、環境にやさしい塗料とされています。
無機塗料は一般的に硬く、柔軟性に乏しいため、塗膜に力が加わった場合に割れや剥離が生じることがあります。
また、無機塗料を常温で安定的な硬化をおこなうには、膜厚の管理や一定の環境条件、温度、湿度などの条件を満たすことが必須となります。安定した耐食性、防食性、確実な硬化を求めるなら、温度管理した炉で焼成する方法が確実です。
防食塗料に配合される無機のセラミック

セラミックは、非金属性の材料で、高温で焼成されることで作られる硬質で脆い材料です。セラミックは、陶器、タイル、ガラス、セメント、耐火物、セラミックファイバーなど、様々な種類の製品に使用されています。
セラミックは、高温に耐えることができ、摩耗に強く、ほとんどの化学薬品に対する耐性があります。
これらの特性により、セラミックは様々な分野で広く使用されています。
防食塗料で使用されるセラミックは、「無機のフィラー」や「無機のフレーク」といわれますが、その形状で機能が異なります。
無機のフィラーは、通常微粒子状で、塗料や樹脂の中に均一に分散することで、物理的な性質を改善するために使用されます。例えば、耐摩耗性や耐熱性、剛性を向上させるために、シリカやアルミナなどが使用されます。
一方、フレークは、薄片状の素材で、一般的にはガラスフレークが代表的です。ガラスフレークは、耐熱性や耐摩耗性も向上しますが、ガラスフレークが塗膜内に整列することにより、外部からの非透過性の向上、つまり防食機能を向上させる目的があります。
塗料にセラミックを配合させるメリット
- 耐摩耗性の向上:セラミックは非常に硬く、耐摩耗性が高いため、塗料に配合することで、表面の耐久性を向上させることができます。これにより、主に擦れ摩耗に対して優れた機能を向上させます。
- 耐熱性の向上:セラミックは高温に耐える性質があり、塗料に配合することで、塗膜が高温下で劣化するのを防止することができます。
- 耐薬品性の向上:セラミックは、ほとんどの化学薬品に対する耐性があります。塗料に配合することで、化学薬品に対する耐性を向上させることができます。
- 防食性の向上:セラミックは薬液等の浸透がありません。セラミックを塗料に配合することにより、薬液透過を防止するバリア構造を形成します。
- 塗膜残留応力の軽減:塗料は硬化する前は液状で、硬化することにより個体となります。その際に生じる塗膜応力(ストレス)が、乾燥後も残留応力として残ってしまいます。セラミックを塗料に配合することで、硬化の際に生じる応力を分散、拡散し、応力を軽減させることで、安定的な密着性に効果があります。
以上のように、ガラスフレークを配合することで、塗膜の物理的・化学的性質を向上させることができます。
塗料にセラミックを配合させるデメリット
- 施工が難しい:セラミックを配合した防食ライニング塗料は非常に粘度が高く、塗装時に施工が難しくなることがあります。
- 見た目が粗くなる:セラミックが塗膜表面に露出することで、塗膜表面が粗くなることがあります。
- 費用が高い:セラミックを配合した塗料は、一般的な防食塗料と比べて製造コストが高く、費用がかかります。
(株)RSテックのフレークライニング

弊社の材料にはガラスフレークが配合されており、防食ライニング用に特化されています。一般的なフレーク材料の配合量は、適正な量があるようですが
弊社のフレーク材料は特殊な方法で添加され、大量に配合されています。無機セラミックの特性を最大限引き出す設計で作られています。
①RSJ#100エポキシフレークライニング
RSJ#100は幅広い薬品耐性と水中硬化性のある2液性の無溶剤エポキシ樹脂です。薄片状のシリカを大量に配合しています。
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②RS#200不飽和ポリエステルフレークライニング
RS#200は軟質に調整してある不飽和ポリエステル樹脂です。素地に対する追従性を重視した耐食材料です。ガラスフレークを大量に配合しています。
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③RS#300ビニルエステルフレークライニング
RS#300は幅広い耐薬品性と耐溶剤性のあるビニルエステル樹脂です。ガラスフレークを大量に配合しています。
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まとめ
防食ライニングの代表的な工法で、FRPライニングがあります。この工法も強化ガラス繊維に、樹脂がしみ込み固着させ、これを積層することで、軽量で強靭な、耐食層を形成することから、無機と有機を組み合わせた工法となります。
ガラスフレークライニングは、FRPの強化ガラス繊維に代わり、耐食材料の中に無機のガラスフレーク材を配合させます。
フレークライニングは強化ガラス繊維の積層作業を省略し、塗りの工程のみで完結できる、無機と有機を組み合わせた画期的な工法です。
無機のセラミックは、ほとんどの化学薬品に耐性があり、透過することが無く、高温にも耐え、高い硬度があり、しかし脆いです。この脆さを有機である樹脂が補うことで、理想的な塗膜となります。しかし有機である樹脂が、耐食性や防食性が無ければ意味がありません。
(株)RSテックには、幅広い薬品耐性のある耐食材料の中に、無機セラミックが大量に添加された材料のラインナップがあります。
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