有機塗料に無機セラミックを配合するメリットと、(株)RSテックのフレークライニング


近年、建築材料や自動車産業をはじめとする多くの分野で、有機塗料に無機セラミックを配合する技術が注目を集めています。この技術の一つとして、当社RSテックが提供するフレークライニング技術があります。この技術は、腐食や劣化の進行する環境から長期にわたり防護し、物理的耐久性を要求される防蝕ライニング塗膜に革新をもたらします。

従来の防食ライニングで一般的なFRP工法では、ガラス強化繊維を使用し、含侵、積層、脱泡など複数の工程を経て強化プラスチックを形成します。しかし、フレークライニングでは、これらの工程を省略し、樹脂にガラスフレークを添加することで、さまざまな防蝕機能を付与します。

有機塗料は柔軟性と色の豊富さで知られていますが、耐久性や耐熱性には限界があるのに対し、無機セラミックは耐久性や耐熱性に優れていますが塗布性や密着性に制限があります。これら二つの素材を組み合わせることにより、両者の利点を活かしながら、それぞれの欠点を補うことができます。これを「有機と無機を組み合わせたハイブリット材料」と表現します。

本記事では、有機塗料と無機セラミックの配合がもたらすメリットと、当社RSテックのフレークライニング技術に焦点を当てています。RSテックでは、耐食性に優れた有機材料の中に無機セラミックを配合した防食材料のラインナップを提供しています。


当社のフレークライニングの詳細をまとめた内容を、以下のリンクから確認できます。

関連記事:

有機塗料と無機セラミックの基礎知識

1.有機塗料とは

有機塗料とは、炭素を主成分とする有機化合物から構成されています。一般的に有機塗料は、人工的な化学物質を使っているという意味で使われます。

有機塗料は、その柔軟性と加工しやすさから広く用いられています。その色彩の鮮明さと光沢は、有機塗料の顕著な特徴です。防食ライニングとして使用される有機塗料では、耐食性が特に重視され、厳しい腐食条件下でも保護層として機能します。この役割を果たす主要な樹脂にはエポキシ、ポリウレタン、ポリエステル、ビニルエステルなどがあります。

2.無機セラミックとは

無機セラミックは、無機非金属材料から構成される硬質で、高温に耐えることができ、摩耗に強く、ほとんどの化学薬品に対する耐性がある材料です。これらは自然界に存在する鉱物から作られることもあれば、合成的に製造されることもあります。

無機セラミックは耐熱性、耐薬品性、耐久性に優れており、厳しい環境下での使用に適していますが、塗布性や柔軟性の制限、色のバリエーションの限りがあります。

非金属の材料であるセラミックは、高温で焼成されて作られる硬く脆い素材です。陶器、タイル、ガラス、セメント、耐火物、セラミックファイバーなど、多岐にわたる製品に使用されています。高温耐性、摩耗耐性、多くの化学薬品に対する耐性を有するため、多様な分野で広く活用されています。

防蝕塗料に使用されるセラミックは、「無機のフィラー」と「無機のフレーク」の2つの形状が一般的です。無機フィラーは微粒子状で、塗料や樹脂に均一に分散させ、物理的な性質を改善します。耐摩耗性、耐熱性、剛性の向上のためにシリカやアルミナが使用されます。

3.配合の科学

有機塗料と無機セラミックを配合することで、両者のバランスを取りながら、それぞれの長所を活かすことができます。この配合により、耐久性が向上し、色調を保ちつつ環境に対する抵抗力を高めることが可能になります。

防蝕塗料に使用されるセラミックは、「無機のフィラー」と「無機のフレーク」の2つの形状が一般的です。無機フィラーは微粒子状で、塗料や樹脂に均一に分散させ、物理的な性質を改善します。耐摩耗性、耐熱性、剛性の向上のためにシリカやアルミナが使われます。

無機フレークは薄片状で、特にガラスフレークが代表的です。ガラスフレークは耐熱性や耐摩耗性を向上させるだけでなく、硬化した塗膜内で整列することにより、外部からの透過性を極端に低減し、防蝕機能を高めます。

塗料にセラミックを配合させるメリット

有機塗料と無機セラミックの配合は、塗料の性能を大幅に向上させる画期的な技術です。

  1. 耐摩耗性の向上
    • セラミックは非常に硬く、耐摩耗性が高いため、塗料に配合することで、表面の耐久性を向上させることができます。これにより、主に擦れ摩耗に対して優れた機能を向上させます。
  2. 耐熱性の向上
    • セラミックは高温に耐える性質があり、塗料に配合することで、塗膜が高温下で劣化するのを防止することができます。
  3. 耐薬品性の向上
    • セラミックは、ほとんどの化学薬品に対する耐性があります。塗料に配合することで、化学薬品に対する耐性を向上させることができます。
  4. 防食性の向上
    • セラミックは薬液等の浸透がありません。セラミックを塗料に配合することにより、薬液透過を防止するバリア構造を形成します。
  5. 塗膜残留応力の軽減
    • 塗料は硬化する前は液状で、硬化することにより個体となります。その際に生じる塗膜応力(ストレス)が、乾燥後も残留応力として残ってしまいます。セラミックを塗料に配合することで、硬化の際に生じる応力を分散、拡散し、応力を軽減させることで、安定的な密着性に効果があります。
  6. 環境への影響
    • 無機セラミックの添加は、有機塗料の環境への影響を軽減します。特に有害な化学物質の排出を減少させることが期待できます。
  7. 作業性の向上
    • FRP工法と比較すると、強化ガラス繊維を使用した積層工程を省略し、塗り工程のみで完結する作業性

無機セラミックを配合することで、塗膜の物理的強度や化学的性質を向上させることができます

擦れ摩耗と衝撃摩耗の詳しい解説と塗膜の選び方については、以下のリンクから確認ができます。

関連記事:

塗料にセラミックを配合させるデメリット

  1. 施工が難しい:
    • セラミックを配合した防食ライニング塗料は非常に粘度が高く、塗装時に施工が難しくなることがあります。
  2. 見た目が粗くなる:
    • セラミックが塗膜表面に露出することで、塗膜表面が粗くなることがあります。
  3. 費用が高い:
    • セラミックを配合した塗料は、一般的な防食塗料と比べて製造コストが高く、費用がかかります。

ガラスマットやクロスを駆使し、積層することで厚膜で強固な強化プラスチック塗膜が形成できるFRP工法では、塗料の粘度は低く、塗布作業は比較的簡易ですが、積層、脱泡、バリ取りなど、工程が増えます。

塗膜強度が必要な場合には、FRPライニング工法が選択されます。詳細は以下のリンクから確認できます。

関連記事:

(株)RSテックのフレークライニング技術

技術の概要

RSテックのフレークライニング技術は、幅広い化学薬品に対する耐性を備えた無溶剤型の耐食材料に、無機セラミックフレークを高濃度で配合し、塗膜の耐久性を最大限に高めることで、設備の耐用年数を延ばすことを目指しています。当社の特殊な添加方法により、一般的なフレーク材料を上回る濃度で配合されることで、無機セラミックの潜在的な特性が最大限に活かされる設計で製作されています。

以下の表に製品情報を整理しました。

製品カテゴリ製品名主要成分特徴組み合わせ
耐食性エポキシ樹脂RSJ#100シリカフィラー酸性からアルカリ性まで幅広い薬品耐性・水中硬化性      ―
耐酸性不飽和ポリエステル樹脂RS#200ガラスフレーク耐酸性、柔軟性があり基材や塗膜の応力(ストレス)緩和RS#300との組み合わせ
耐食性ビニルエステル樹脂RS#300ガラスフレーク幅広い薬品耐性、硬質で靭密構造、耐候性、色彩の自由RS#200との組み合わせ

①RSJ#100エポキシフレークライニング

RSJ#100は幅広い薬品耐性と水中硬化性のある2液性の無溶剤エポキシ樹脂です薄片状のシリカを大量に配合しています

まとめ

RSテックは、有機塗料に無機セラミックを配合する革新的なフレークライニング技術を提供しています。この技術は環境負荷を低減しつつ耐久性を向上させることで、持続可能な開発に貢献しています。FRPライニングのような従来の工法とは異なり、ガラスフレークライニングは強化ガラス繊維に替えて無機ガラスフレークを樹脂に混入させ、塗り工程のみで耐食層を形成する効率的な方法です。

無機セラミックの化学的耐性と高温耐性に富んだ硬度と、有機樹脂の柔軟性を組み合わせることで、耐腐食性がありながらも脆さを克服した塗膜を実現しています。

腐食から大切な設備を守る

(株)RSテックは、防蝕ライニング専用の樹脂販売、防蝕設計、各種防蝕ライニング施工まで、一貫したサービスを提供しています。お客様のニーズに最適な防蝕対策をトータルにサポートいたします。

主なサービス内容

お気軽にお問い合わせください

防蝕対策に関するご相談は、(株)RSテックにお任せください。専門スタッフが、お客様のニーズに最適なソリューションをご提案いたします。

お問い合わせ

ご質問、資料請求等ありましたら、お気軽にお問合せ下さい。

ポリウレアライニング、密着の役割を担う プライマーの重要性

防液堤をはじめとするコンクリート構造物のメンテナンス材料にはRSJ#100をお勧めする理由

廃液処理施設の防蝕ライニング:pH値と耐蝕材料の重要性

溶剤と無溶剤の塗料の違いについて説明、ライニング材料で選ぶなら無溶剤を選択するべき理由

エポキシライニング材で知っておくべき重要事項!特殊エポキシ材料RSJ#100

「塗装とライニングの違いとは?」効果的な防蝕メンテナンス