排水槽の防食には樹脂ライニングが最適、樹脂の種類と工法を解説。(株)RSテック

排水槽は、日々の使用により腐食や損傷が進行しやすい設備です。特に、化学物質や塩分を含む排水にさらされることが多いため、防食対策は非常に重要です。このような環境において、排水槽の耐久性を保ち、長期にわたる使用を可能にする最適な解決策が樹脂ライニングです。

本稿では、排水槽における樹脂ライニングの必要性、樹脂の種類とその特性、そして具体的な工法について詳しく解説していきます。樹脂ライニングは、排水槽の保護と寿命の延長において、非常に効果的な手段となり得るため、その理解を深めていただくことが本稿の目的です。

排水槽が腐食、劣化する原因

排水槽は、排水を貯留・処理するための構造物であり、使用される環境や排水の成分によって腐食や劣化が起こります。

具体的には、以下のような要因が腐食や劣化を引き起こす原因となります。

  1. 排水の腐食性:
    • 排水には、酸やアルカリ、溶剤、塩素、硫化水素の発生などの腐食性のある成分が含まれていることがあります。これらの成分が排水槽の内部に長期間にわたって付着することで、金属やコンクリートの腐食を引き起こし、槽の劣化や漏洩を引き起こします。
  2. 温度変化
    • 排水処理施設や工場などで使用される排水槽は、排水の温度が高いことがあります。このため、槽の内部に長期間にわたって熱が加わることで、排水の分子運動が活発になり腐食が進行し、劣化を引き起こします。
  3. 構造的な欠陥
    • 排水槽には、金属の厚さが不十分であったり、溶接が不良であったりする場合があります。これらの欠陥がある場合、腐食や劣化が進行しやすくなり、漏洩や損傷を引き起こすことがあります。またコンクリート構造であればクラック(ひび割れ)が生じることはよくある現象です。クラックは、コンクリートの収縮や膨張、荷重変化、温度変化、地震などの影響によって引き起こされます。クラックが発生すると、コンクリートの強度や耐久性が低下し、構造物の安全性や寿命に影響を与える可能性があります

以上のように、排水槽が腐食や劣化を起こす原因は、排水の腐食性や温度変化、構造的な欠陥など、複数の要因が絡み合っています。定期的な点検や適切なメンテナンスが必要とされています。

排水槽内面を保護できる樹脂ライニング工法

樹脂ライニングは、耐久性に優れた樹脂を使って、排水槽の内面をコーティングする技術です。これは、直接的な物理的損傷から排水槽を保護するだけでなく、腐食や化学反応による損傷からも守ります。

排水槽の樹脂ライニングは使用条件に応じて異なりますが、通常、流れる排液に耐える耐摩耗性、多様な薬品に対する耐性、そして液体との長期接触による腐蝕から保護するための不透過性が必要です。

また既設の排水槽のメンテナンスでは、新設時とは異なり、すでに腐食や劣化が進行した現場では、条件が厳しくなるため、施工環境に柔軟に対応できる樹脂の選定が重要です。

適切な樹脂ライニング工法の選択と施工は、排水槽の長期的な性能と耐久性を保護する上で重要です。

1:RSJ#100エポキシライニング工法

RSJ#100エポキシライニング工法は、特に強固な保護層を必要とする場合に適した方法です。この工法は、排水槽の内部にシームレスな厚膜層を形成することができ、耐久性と防食性を兼ねそなえます。RSJ#100のエポキシフレークライニング仕様とエポキシFRPライニング仕様を現場の状況により選択できます。

この工法の強みは、水中でも硬化するRSJ#100による柔軟な施工環境への適応と、現場でRSJ#100エポキシパテを自作し、穴埋めや地面の平滑化など多用途に活用できることです。

湿潤環境でも硬化に問題が無いRSJ#100エポキシライニング工法についての詳しい内容は以下のリンクから確認ができます。

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RSJ#100エポキシライニングの特徴

特性説明
幅広い薬品耐性アルカリ性から酸性までの幅広い範囲の薬品に対する耐性がある。
密着性旧塗膜や様々な基材に対しての幅広い接着性と、硬化時の収縮が少ないため、安定した密着性を提供する。
無溶剤型エポキシ樹脂臭気が少なく、揮発性有機化合物(VOC)の放出が低いため環境に優しい
高い耐久性腐食要因からの遮断性に加え、耐摩耗性等の物理的強度にも優れます。防液堤などの床材としても使用される。
水中、湿潤硬化性RSJ#100は水中でも湿潤環境でも問題なく硬化する特性がある。
無機セラミックの配合RSJ#100は無機セラミックを特殊な方法で大量に配合し、摩耗性の向上、硬化収縮による塗膜応力の分散、耐熱性の向上、塗膜内の薬液浸透を防ぐなどのメリットがある。

RSJ#100エポキシFRP仕様

排水槽のメンテナンスや補修では、孔食などが発生し、樹脂ライニング塗膜に強度が必要になる場合もあります。そのような場合はRSJ#100を主体としたエポキシFRP仕様にするなど現場の状況によりカスタマイズすることも可能です。

FRP仕様にするメリットは以下の通りです。

  1. 高い強度と耐久性:
    • FRPは繊維強化プラスチックで、高い強度と耐久性を持ちます。
  2. 軽量性:
    • 金属など他の素材に比べて軽量であり、比較的容易に強化プラスチックを形成できます。
  3. 耐腐食性:
    • 分厚い塗膜にすることで、化学薬品や環境要因による腐食に強く、長期間の保護が可能です。
  4. カスタマイズ性:
    • 現場の特定の要件に応じて形状や厚さをカスタマイズできます
  5. 熱安定性:
    • 温度変化に強く、高温や低温環境でも性能を維持します。
  6. 非導電性:
    • FRPは非導電性であり、電気的絶縁に有効です。
  7. 耐摩耗性:
    • 摩耗に強く、長期間の使用にも耐える耐摩耗性を有しています。

これらの特性により、RSJ#100のFRP仕様は排水槽の補修やメンテナンスにおいて、有効な選択肢となります。詳しい内容は以下のリンクから確認ができます。

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2:RS#300ビニルエステルライニング工法

RS#300ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂を基にして変性された樹脂の一種です。この樹脂は、エポキシ樹脂の優れた化学的耐性と物理的強度を兼ね備えています。RS#300ビニルエステル樹脂は、特に耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性に優れており、さまざまな産業分野での防食コーティング材として広く採用されています。

RS#300ビニルエステルライニング工法では、基材との緩衝材としてRS#200不飽和ポリエステル樹脂との組み合わせが推奨されます。現場の状況に応じて、フレークライニング仕様とFRPライニング仕様のいずれかを選択することが可能です。

当社のビニルエステルライニング技術の詳しい内容は、以下のリンクから確認ができます。

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RS#300ビニルエステル樹脂の特性

特性説明
耐薬品性が高いRS#300は酸やアルカリ、有機溶剤など多くの化学物質に対して耐性があります。
耐久性が高いビニルエステル樹脂(変性エポキシ)は、幅広い薬品耐性と耐摩耗性を持ち、防液堤などの床材にも使用される優れた耐久性能を有します。
耐候性の良さRS#300ビニルエステル樹脂は屋内外での使用に適しており、耐候性に優れています。
着色の自由RS#300は着色を自由に選択できます。
優れた硬化性ラジカル重合反応による硬化で、硬化剤の量による硬化速度の調整が可能で、冬季でも優れた硬化性を示します。
多重防食性RS#300ビニルエステルを主体とし、RS#200不飽和ポリエステルを中間層に用いることで、強度と安定した密着性を兼ね備えた多重防食仕様が可能です。

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まとめ

本稿では、排水槽の防食対策としての樹脂ライニングの重要性、特にRSJ#100エポキシライニング工法とRS#300ビニルエステルライニング工法に、焦点を当てて解説しました。

樹脂ライニングは、排水槽の耐久性を向上させ、長期的な設備の保護に貢献します。これは、特に化学物質や過酷な環境にさらされる施設にとって、不可欠な防食対策です。本稿を通じて、排水槽の保護とメンテナンスに関する理解を深め、適切な防食措置を講じるための知識を得ていただければ幸いです。

また、化学工場のプラント設備では、塗装では防ぎきれない腐蝕や劣化が多く見られ、樹脂ライニングはこれらの問題に対する幅広い防食対策として有効です。

当社は、幅広い薬品耐性と耐摩耗性を備えた防食材料を多数取り揃えており、フレークライニングやFRPライニングなど、様々な工法を用いた防食ソリューションを提供しています。ただし、耐食性や実績だけで防食仕様を決定するのは避け、現場調査に基づいた適切な設計が重要と考えております。

腐食から大切な設備を守る

(株)RSテックは、防蝕ライニング専用の樹脂販売、防蝕設計、各種防蝕ライニング施工まで、一貫したサービスを提供しています。お客様のニーズに最適な防蝕対策をトータルにサポートいたします。

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