
プラントの安定稼働と安全確保において、定期的なメンテナンスは欠かせません。電力、エネルギー、鉄鋼、機械、化学、食品、上下水道など、あらゆる分野のプラント設備では、金属腐食やコンクリートの劣化といった深刻な問題が常に存在します。
これらの課題に対しては、防蝕塗装やライニングといった樹脂を用いた表面保護が有効ですが、腐食環境や施工条件に応じて最適な材料と工法を選定しなければ、かえって劣化を早めるリスクがあります。特に、稼働中の設備に対する防食メンテナンスでは、完全に乾燥した状態が確保できない、水中・湿潤環境での施工を余儀なくされる場面も少なくありません。

(株)RSテックは、防蝕ライニング用樹脂の販売、防蝕設計、施工を一貫して行い、防蝕に関わるあらゆる問題解決を目指しています。お客様のニーズに合わせた最適な防蝕ソリューションを提供し、トータルサポートを通じて確かな安心をお届けします。
以下のリンクから、(株)RSテックの製品ラインナップとカタログをダウンロードできます。
そこで本稿では、水中でも確実に硬化し、防蝕性能を発揮するRSJ#100(エポキシ樹脂)と、脆弱化したコンクリート基材の強化に適したRS#123(ポリウレタン樹脂)の2製品に焦点を当て、厳しい現場環境でも短期間かつ確実に対応可能な防食メンテナンスの解決策をご紹介します。

RS#123とRSJ#100(エポキシ樹脂)を使用した防蝕ライニングシステムについて、詳しい内容は以下のリンクから確認ください。
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プラントメンテナンスの定修工事とは?
工業プラントや製造施設の安定稼働を維持する上で、定期修理(定修)工事は欠かせない重要な業務です。これらの工事は、設備の劣化を未然に防ぎ、長期的な健全性と生産効率を確保するために実施されます。
中でも、防蝕メンテナンスは腐食の進行を食い止め、設備寿命を延ばすために不可欠です。定修期間中は工程が限られているため、短期間で確実に施工を完了できる防食対策が強く求められます。

定修工事の特徴
- 定期的な実施:
- 定修工事は通常、計画的に定期的に実施されます。これにより、突発的な故障や予期せぬダウンタイムを防ぐことができます。
- 予防保全の一環:
- この工事は、設備の故障を予防し、常に最適な運用状態を維持することを目的としています。これにより、設備の寿命を延ばし、生産性を高めることが可能になります。
- 徹底的な検査と修理:
- 定修工事では、設備や機器の徹底的な検査が行われ、必要に応じて修理や交換が行われます。これには、機械的な部分だけでなく、防蝕メンテナンスも含まれます。
- 生産性の向上:
- 設備を最適な状態に保つことで、生産効率の向上や品質の安定が期待できます。
- 安全の確保:
- 定修工事は、作業者やプラント周辺の安全を確保するためにも重要です。設備の故障や不具合が事故の原因となることを防ぎます。
プラント設備では、有害物質の漏洩対策は重要となっており、タンクヤードには様々な漏洩対策がされています。樹脂ライニング技術を用いた漏洩対策については、以下のリンクから確認ができます。
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定修期間中に行う短納期防蝕工事

短納期が求められる定修期間中の防蝕工事では、生産停止の影響を最小限に抑えるため、迅速な施工と厳格な納期管理が不可欠です。現場環境や天候などの不確定要素に対応するには、柔軟性と作業性に優れた樹脂と工法の選定が重要です。
様々な耐食樹脂と工法を詳しくまとめた内容は、以下のリンクから確認ができます。
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塗膜強度を必要とする、防蝕、防水、摩耗、漏洩といった複合的な問題に対応するため、FRP(強化繊維プラスチック)工法があります。詳しい内容は以下のリンクから確認ができます。
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予測不可能な環境に対応するRSJ#100とRS#123

定修期間中に行う防蝕メンテナンスでは、施工時間の制約に加え、湿気を帯びた下地や脆くなった構造体といった厳しい施工条件がつきものです。
こうした現場では、湿潤面でも確実に硬化し、防蝕性能を発揮する「RSJ#100(エポキシ樹脂)」と、劣化したコンクリート躯体の表面を強化できる「RS#123(ポリウレタン樹脂)」が大きな効果を発揮します。
「RSJ#100」は水分が残る環境でも優れた密着性を維持しながら硬化するため、湿潤下の施工に適しており、腐食の進行を抑えることが可能です。一方、「RS#123」は弾性と接着力に優れ、ひび割れや表面剥離が進行したコンクリート面にも塗布でき、下地の補強と保護を同時に実現します。
この2つの材料を組み合わせることで、限られた定修期間内でも、進行した腐食や劣化に迅速かつ的確に対応し、変化しやすい施工環境にも柔軟に適応できる防蝕システムを構築することができます。
RSJ#100の水中での硬化性をYoutube動画で確認ができます。以下のリンクから確認ができます。
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これにより、プラントにおける防蝕メンテナンスの選択肢が広がり、短期間でも効率的かつ柔軟に対応できる対策が可能になります。RSJ#100とRS#123の活用は、限られた定修期間を有効に活かしながら、設備の長寿命化と安全性の確保に直結する重要な手段として、大きな役割を果たします。
RS#123は積極的にしみ込んで固まる特殊ポリウレタン樹脂
RS#123(ポリウレタン樹脂)は、使いやすさと効果的なコンクリート強化機能を兼ね備えた1液性ポリウレタン樹脂です。この製品は、誰でも簡単にハケやローラーを使って塗布でき、塗ってからわずか20分から30分で乾燥します。RS#123がコンクリートにしみ込むと、その内部が高密度化し、強化されます。何度か塗り重ねることで、コンクリートはより一層強化されるため、持続的な強度を提供します。

脆弱になったコンクリートは強化が必要

通常、コンクリートの上に1mmの層を形成する作業は時間がかかり、専門的な技術を必要としますが、粘度の低いRS#123をしみ込ませることで1mm程度の層を形成することは比較的に簡易にでき、作業の難易度も必要ありません。迅速かつ簡単に必要な効果を得ることが可能です。
RS#123(ポリウレタン樹脂)の詳しい内容は、以下のリンクから確認ができます。
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定修期間中の防蝕メンテナンスでは、限られた時間内に効率的な作業を行う必要があります。この状況において、簡単に施工でき、コンクリートと一体化し剥がれにくい塗膜構造を実現できる方法は、メンテナンスの選択肢を大きく拡げる重要な要素です。
RS#123の躯体表面強化機能をプライマーとして活用することで、上に耐食樹脂による防蝕ライニング工法が成立します。

RS#123プライマーを使用した防蝕ライニング工法の種類については以下のリンクから確認ができます。
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進行してしまった錆にも積極的にしみ込んで固着

RS#123は、取り切れない頑固なサビにも浸透してしっかり密着する特性があります。
サビは細かい穴がたくさん空いた多孔質(ポーラス)構造になっており、そこにRS#123が深く染み込むことで、サビの内部まで固めて固定します。これにより、サビの進行原因となる酸素や水分の侵入を防ぎ、防蝕効果を発揮します。
さらに、鋼材の表面を強化する効果もあるため、塗膜の剥がれを防ぐ効果も期待できます。
想定以上に速い錆の再発や進行がある場合、そのままにしていると鋼材や配管に穴が開くなどの大きな問題になるケースがあります。 RS#123は錆びの上から塗れば、積極的にしみ込んで固着します。一定期間は錆の進行を食い止められます。
RS#123はプライマーとして使用が可能
RS#123は、コンクリート表面に塗布することで躯体の表面を樹脂化・強化し、脆弱な下地を安定させる効果があります。これにより、上塗りとして使用する各種耐食材料(エポキシ、ビニルエステル、ポリエステルなど)との密着性を高め、塗膜の性能を最大限に引き出すことが可能になります。
特に、劣化やひび割れが見られる既存コンクリートにおいては、RS#123による下地処理が、長期耐久性と塗膜の安定性を確保するための重要な工程となります。プライマーとしての「RS#123」は、単なる接着促進材にとどまらず、基材の補強と密着向上の両立を実現する機能性材料として非常に有効です。

RS#123をプライマーとして使用することで、耐蝕性を高めたり、指定色での着色が可能な防蝕材料を塗布できます。この方法は、腐蝕状況に応じた選択肢を広げ、効果的な保護を提供します。
RSJ#100耐食エポキシ樹脂ライニング

RSJ#100耐食エポキシ樹脂は、水中や湿潤環境でも確実に硬化する無溶剤タイプの高耐食エポキシ樹脂です。現場の状況に応じて粘度調整が可能で、パテ状の補修材や樹脂モルタルとして自在に加工できるため、欠損部の穴埋めや不陸調整といった補修作業をスムーズに行えます。
その優れた水中硬化性能により、乾燥状態を確保できない現場でも安心して施工でき、下地補修から仕上げライニングまでをこの1材料で完結。他の材料を使い分ける必要がなく、工期短縮・施工効率の向上に大きく貢献します。
過酷な現場環境でも信頼できるRSJ#100は、防蝕メンテナンスをよりシンプルかつ確実に実現する革新的なソリューションです。
RSJ#100水中硬化性を利用した防食ライニング | 株式会社RSテック >>
RSJ#100は粘度調整することにより、耐食エポキシ樹脂のパテ材や樹脂モルタルにすることができます。この多様性のある作業性で様々な用途で活用することが可能となります。

RSJ#100の応用編、現場でRSJ#100を粘度コントロークしてパテ材の作成方法については、以下のリンクから確認ができます。
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耐食性樹脂RSJ#100を樹脂モルタルにするメリットと活用方法については以下のリンクから確認してください。
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塗膜強度を必要とする場合には、RSJ#100の水中硬化性と薬品耐性の特長そのままに、FRP(強化繊維プラスチック)工法を選択することもできます。
詳しい内容は以下のリンクから確認してください。
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湿潤環境や水中での硬化性で解決できる事が多い

RSJ#100の最大の特長は、湿潤面や水中でも確実に硬化するという高い信頼性にあります。
通常のエポキシ樹脂では困難な濡れた環境下での施工にも対応できるため、排水処理設備やタンク内部、屋外配管など、乾燥が難しい現場でも確実な防蝕処理が可能です。
この優れた性能により、限られた定修期間中の作業効率を飛躍的に向上させることができ、防蝕メンテナンスにおいて最適かつ実用性の高い選択肢として、多くの現場で採用されています。
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RSJ#100の幅広い薬品耐性と防食性能
RSJ#100は、酸・アルカリ・塩類など多様な薬品に対して高い耐性を発揮する高機能エポキシ樹脂です。さらに、セラミックフィラーを高濃度で配合することで、塗膜内部への液体やガスの浸透を防ぐ高い不透過性(バリア性)を実現。これにより、腐食要因から基材を長期間にわたって確実に保護します。


厚膜塗布で環境遮断
RSJ#100は、1度塗りで1.0mm以上の超厚膜塗布が可能な特殊エポキシ樹脂です。高い充填性と低たれ性により、垂直面や天井面でも均一な厚膜形成が可能で、複数回塗りの手間を削減し、施工効率を大幅に向上させます。
この厚膜層が、水分・酸素・薬品などの腐食因子をシャットアウトするバリア層となり、基材を長期間にわたってしっかりと保護。特に、腐食が進行しやすいプラント内の設備や薬品タンク、湿潤環境下の構造物において、優れた環境遮断効果を発揮します。



RSJ#100の施工方法の説明は、以下のリンクから確認してください。
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密着性の良いエポキシ樹脂
エポキシ樹脂は、工業用接着剤としても広く使用されるほど優れた接着力を持つ材料です。RSJ#100もその特性を活かし、コンクリートや鋼材など様々な基材に対して高い密着性を発揮します。
さらに、下地処理としてRS#123(ポリウレタン系プライマー)を併用することで、下地を強化・樹脂化し、RSJ#100との密着をより安定させることが可能です。この組み合わせにより、防蝕ライニングの性能と耐久性が格段に向上し、厳しい環境下でも信頼できる接着・防蝕システムを構築できます。
密着性は耐用年数に影響します。詳しい内容は以下のリンクから確認ができます。
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RS#123とRSJ#100を組み合わせたエポキシライニング工法

RS#123をプライマーとして使用すれば、躯体強化層を形成します。その上にRSJ#100を厚膜塗布すれば、防食性・耐摩耗性・耐薬品性・防水性等のある高水準な環境遮断層となります。この工法はプラントメンテナンスにおいて、幅広い用途で長期防食を可能にします。

プラント設備の防液堤や排水槽の防蝕ライニングについて、詳しい内容は以下のリンクから確認ができます。
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定修期間中に行う防蝕工事では、すでに弱体化している構造物が対象となり、予期せぬ施工環境や不測の事態に直面することが多いです。そのため、限られた時間内で作業を完了させ、品質を維持しながら施工を行うための複数の選択肢を持つことは、効果的なメンテナンス戦略の一部となります。
腐食から大切な設備を守る:
(株)RSテックは、防蝕ライニング専用の樹脂販売、防蝕設計、各種防蝕ライニング施工まで、一貫したサービスを提供しています。お客様のニーズに最適な防蝕対策をトータルにサポートいたします。
主なサービス内容
- 防蝕ライニング専用樹脂の販売
- 豊富な種類と実績から、最適な樹脂をご提案。ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂
- 高性能・高耐久な樹脂で、設備を長期的に保護
- 防蝕設計
- 腐食環境や設備の用途に合わせた最適な設計
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