
排水槽は、日常的に化学物質や塩分を含む排水にさらされることで、腐食や劣化が進行しやすい設備です。放置すれば漏洩や構造体の損傷に直結するため、「排水槽の防蝕対策」は極めて重要な課題といえます。
このような過酷な環境下で、排水槽の耐久性を確保し、長期的な機能維持を実現する有効な手段が「樹脂ライニング」です。防蝕性能に優れた各種樹脂を使用することで、化学的な攻撃からコンクリートや鋼製の槽をしっかりと保護することができます。
本記事では、排水槽における防蝕対策の重要性に加え、使用される樹脂の種類ごとの特性、そして実際のライニング工法について詳しく解説します。排水槽の防食・延命をお考えの方にとって、最適な選定と対策のヒントとなる情報をお届けします。
(株)RSテックは、防蝕ライニング用樹脂の販売、防蝕設計、施工を一貫して行い、防蝕に関わるあらゆる問題解決を目指しています。お客様のニーズに合わせた最適な防蝕ソリューションを提供し、トータルサポートを通じて確かな安心をお届けします。
以下のリンクから、(株)RSテックの製品ラインナップとカタログをダウンロードできます。
関連記事:
排水槽が腐食、劣化する原因


排水槽は、排水を一時的に貯留・処理するための構造物であり、使用環境や排水に含まれる成分によって、腐食や劣化が発生しやすくなります。
特に、以下のような要因が排水槽の腐食や劣化を引き起こす主な原因となります。

- 排水の腐食性:
- 排水には、酸やアルカリ、溶剤、塩素、硫化水素の発生などの腐食性のある成分が含まれていることがあります。これらの成分が排水槽の内部に長期間にわたって付着することで、金属やコンクリートの腐食を引き起こし、槽の劣化や漏洩を引き起こします。
- 温度変化:
- 排水処理施設や工場などで使用される排水槽は、排水の温度が高いことがあります。このため、槽の内部に長期間にわたって熱が加わることで、排水の分子運動が活発になり腐食が進行し、劣化を引き起こします。
- 構造的な欠陥:
- 排水槽には、金属の厚さが不十分であったり、溶接が不良であったりする場合があります。これらの欠陥がある場合、腐食や劣化が進行しやすくなり、漏洩や損傷を引き起こすことがあります。またコンクリート構造であればクラック(ひび割れ)が生じることはよくある現象です。クラックは、コンクリートの収縮や膨張、荷重変化、温度変化、地震などの影響によって引き起こされます。クラックが発生すると、コンクリートの強度や耐久性が低下し、構造物の安全性や寿命に影響を与えます。
以上のように、排水槽が腐食や劣化を起こす原因は、排水の腐食性や温度変化、構造的な欠陥など、複数の要因が絡み合っています。定期的な点検や適切なメンテナンスが必要とされています。
関連記事:
排水槽内面を保護できる樹脂ライニング工法

樹脂ライニングは、耐久性に優れた樹脂を使って、排水槽の内面をコーティングする技術です。これは、直接的な物理的損傷から排水槽を保護するだけでなく、腐食や化学反応による損傷からも守ります。
関連記事:

排水槽における樹脂ライニングは、使用条件に応じて適切な仕様を選定する必要があります。通常、排液による摩耗に耐える耐摩耗性、各種薬品への耐薬品性、そして長期的な液体との接触から基材を保護するための不透過性(バリア性)が求められます。これらの性能は、排水槽の長寿命化と安全な運用において不可欠です。
特に既設の排水槽に対するメンテナンス工事では、新設時とは異なり、腐食や劣化がすでに進行しているケースが多く、施工条件が一層厳しくなります。そのため、湿潤面や不陸のある下地にも対応できる柔軟な樹脂材料と、現場状況に応じた適切なライニング工法の選定が、防蝕性能を確保するうえで重要なポイントとなります。
適切な樹脂ライニング工法の選択と施工は、排水槽の長期的な性能と耐久性を保護する上で重要です。
関連記事:
RSJ#100エポキシライニング工法

RSJ#100エポキシライニング工法は、強固な防蝕保護が求められる排水槽に最適なソリューションです。
この工法では、排水槽内部にシームレスで高耐久な厚膜保護層を形成することができ、優れた耐薬品性と長期的な防食性能を発揮します。さらに、使用環境や下地の状態に応じて、エポキシフレークライニング仕様またはエポキシFRPライニング仕様を柔軟に選択できるのが特長です。現場ごとの条件に最適化された施工が可能であり、排水槽の延命と安全性の向上に大きく貢献します。

関連記事:
この工法の大きな強みは、RSJ#100が水中でも確実に硬化する特性を持ち、湿潤環境下や施工条件が厳しい現場にも柔軟に対応できる点にあります。また、RSJ#100を基材として現場で調合することで、エポキシパテとして活用可能であり、欠損部の穴埋めや床面の不陸調整(平滑化)など、下地処理用途にも幅広く対応できるという多用途性も特筆すべき利点です。
湿潤環境でも硬化に問題が無いRSJ#100エポキシライニング工法についての詳しい内容は以下のリンクから確認ができます。
関連記事:

RSJ#100エポキシライニングの特徴

特性 | 説明 |
---|---|
幅広い薬品耐性 | アルカリ性から酸性までの幅広い範囲の薬品に対する耐性がある。 |
密着性 | 旧塗膜や様々な基材に対しての幅広い接着性と、硬化時の収縮が少ないため、安定した密着性を提供する。 |
無溶剤型エポキシ樹脂 | 臭気が少なく、揮発性有機化合物(VOC)の放出が低いため環境に優しい。 |
高い耐久性 | 腐食要因からの遮断性に加え、耐摩耗性等の物理的強度にも優れます。防液堤などの床材としても使用される。 |
水中、湿潤硬化性 | RSJ#100は水中でも湿潤環境でも問題なく硬化する特性がある。 |
無機セラミックの配合 | RSJ#100は無機セラミックを特殊な方法で大量に配合し、摩耗性の向上、硬化収縮による塗膜応力の分散、耐熱性の向上、塗膜内の薬液浸透を防ぐなどのメリットがある。 |
関連記事:
RSJ#100エポキシFRP仕様
排水槽のメンテナンスや補修では、孔食や局所的な損傷が発生し、ライニング塗膜に高い強度や補強性が求められるケースも少なくありません。そうした場合には、RSJ#100をベースにしたエポキシFRPライニング仕様を採用することで、構造的な補強と高い防蝕性能を同時に確保することが可能です。現場の劣化状況や使用環境に応じて、柔軟に仕様をカスタマイズできる点もRSJ#100の大きな特長です。
FRP仕様にするメリットは以下の通りです。
- 高い強度と耐久性:
- FRPは繊維強化プラスチックで、高い強度と耐久性を持ちます。
- 軽量性:
- 金属など他の素材に比べて軽量であり、比較的容易に強化プラスチックを形成できます。
- 耐腐食性:
- 分厚い塗膜にすることで、化学薬品や環境要因による腐食に強く、長期間の保護が可能です。
- カスタマイズ性:
- 現場の特定の要件に応じて形状や厚さをカスタマイズできます。
- 熱安定性:
- 温度変化に強く、高温や低温環境でも性能を維持します。
- 非導電性:
- FRPは非導電性であり、電気的絶縁に有効です。
- 耐摩耗性:
- 摩耗に強く、長期間の使用にも耐える耐摩耗性を有しています。

これらの特性により、RSJ#100のFRP仕様は排水槽の補修やメンテナンスにおいて、有効な選択肢となります。詳しい内容は以下のリンクから確認ができます。
関連記事:
RS#300ビニルエステルライニング工法
RS#300ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂を変性して開発された高性能な防蝕材料です。
エポキシ樹脂が持つ優れた化学的耐性と物理的強度をベースに、さらなる耐薬品性を強化したのがRS#300ビニルエステル樹脂の特長です。特に、耐酸性・耐アルカリ性・耐溶剤性に優れており、強酸や有機溶剤が使用される過酷な環境でも高い防食性能を発揮します。そのため、化学プラント、排水処理施設、反応槽、貯槽など、さまざまな産業分野で高機能な防蝕ライニング材として幅広く採用されています。


RS#300ビニルエステルライニング工法では、基材との密着性と層構造の安定性を高めるために、RS#200不飽和ポリエステル樹脂を緩衝層として組み合わせることが推奨されています。
この組み合わせにより、硬質なビニルエステル層の応力を効果的に分散させ、ライニング全体の耐久性と信頼性を向上させることができます。さらに、現場の条件や使用環境に応じて、ビニルエステルフレークライニング仕様とビニルエステルFRPライニング仕様のいずれかを選択でき、柔軟かつ最適な防蝕対策が可能です。

当社のビニルエステルライニング技術の詳しい内容は、以下のリンクから確認ができます。
関連記事:
RS#300ビニルエステル樹脂の特性

特性 | 説明 |
---|---|
耐薬品性が高い | RS#300は酸やアルカリ、有機溶剤など多くの化学物質に対して耐性があります。 |
耐久性が高い | ビニルエステル樹脂(変性エポキシ)は、幅広い薬品耐性と耐摩耗性を持ち、防液堤などの床材にも使用される優れた耐久性能を有します。 |
耐候性の良さ | RS#300ビニルエステル樹脂は屋内外での使用に適しており、耐候性に優れています。 |
着色の自由 | RS#300は着色を自由に選択できます。 |
優れた硬化性 | ラジカル重合反応による硬化で、硬化剤の量による硬化速度の調整が可能で、冬季でも優れた硬化性を示します。 |
多重防食性 | RS#300ビニルエステルを主体とし、RS#200不飽和ポリエステルを中間層に用いることで、強度と安定した密着性を兼ね備えた多重防食仕様が可能です。 |
関連記事:
用途に応じて選べる:その他の防蝕ライニング工法
防蝕ライニングには、エポキシやビニルエステルなどの樹脂系ライニング以外にも、使用環境やコスト、施工条件に応じて選択できる多様な工法が存在します。その中でも代表的なものがコムライニング(ゴムライニング)や塩ビライニングです。
コムライニングは、ゴム特有の柔軟性と耐薬品性を活かし、衝撃吸収性や亀裂追従性が求められる場面で多く採用されています。一方、塩ビライニングは、耐酸性・耐アルカリ性に優れ、比較的軽量で施工しやすいため、排水設備やダクト類に適しています。
塩ビライニング

関連記事:
ゴムライニング

関連記事:
本稿では、排水槽の防蝕対策として有効な樹脂ライニングの重要性について解説し、特に「RSJ#100エポキシライニング工法」および「RS#300ビニルエステルライニング工法」に焦点を当ててご紹介しました。
樹脂ライニングは、排水槽の耐久性を飛躍的に向上させ、長期的な設備保護に貢献する防食技術です。特に、化学薬品や腐食性の高い排水が日常的に流れる施設においては、不可欠な防蝕手段として機能します。
さらに、化学工場などのプラント設備では、一般的な塗装では防ぎきれない腐蝕や劣化が多数発生しており、こうした環境においてこそ樹脂ライニングの優れた性能が真価を発揮します。
当社は、幅広い薬品耐性と耐摩耗性を備えた防食材料を多数取り揃えており、フレークライニングやFRPライニングなど、様々な工法を用いた防食ソリューションを提供しています。ただし、耐食性や実績だけで防食仕様を決定するのは避け、現場調査に基づいた適切な設計が重要と考えております。
腐食から大切な設備を守る:
(株)RSテックは、防蝕ライニング専用の樹脂販売、防蝕設計、各種防蝕ライニング施工まで、一貫したサービスを提供しています。お客様のニーズに最適な防蝕対策をトータルにサポートいたします。
主なサービス内容
- 防蝕ライニング専用樹脂の販売
- 豊富な種類と実績から、最適な樹脂をご提案。ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂
- 高性能・高耐久な樹脂で、設備を長期的に保護
- 防蝕設計
- 腐食環境や設備の用途に合わせた最適な設計
- 専門知識と経験に基づいた、確実な防蝕対策
- 各種防蝕ライニング施工
お気軽にお問い合わせください
防蝕対策に関するご相談は、(株)RSテックにお任せください。専門スタッフが、お客様のニーズに最適なソリューションをご提案いたします。
お問い合わせ:
資料請求・お見積り・ご質問等ありましたら、お気軽にお問合せフォームよりお願い致します。
コンクリート防食に必要なこと!RS#123プライマーの必要性
耐酸性と耐溶剤性を高める!RSテックのビニルエステルライニングシステム
FRPライニングとフレークライニングで広がるRS#200の用途