超厚膜塗膜と樹脂ライニング専用プライマー:耐久性と効率を最大化する

樹脂ライニングは、超厚膜型塗膜でコーティングすることで、基材を長期的に保護することができる代表的な方法の一つです。その必要性は高い耐久性、耐薬品性、耐熱性等を備えることにより証明されます。これらの特性は、設備や構造物を長期間にわたり物理的損傷から守り、腐食や化学的侵食を防ぐために利用されます。樹脂ライニング塗膜は、厳しい環境条件下でも性能を維持し、物理的保護を提供することによって、貴重な資産の寿命を延ばす重要な役割を果たします。

当社では、樹脂ライニングの厚い塗膜の形成には、プライマーの密着性が極めて重要であると考えています。プライマーは樹脂ライニング塗膜の自重を効果的に支えるとともに、塗膜にかかる応力を緩和し(拡散させる)ことで、全体の耐久性を高める柔軟性を持たせる必要があります。この柔軟性により、樹脂ライニングは長期間にわたりその性能を維持し、設備や構造物を保護する役割を果たします。

プライマーは、基材とライニング塗膜の間の密接な結合を確保するために不可欠です。そのため、優秀な施工業者は、この結合の重要性を深く理解しており、下地処理に細心の注意を払います。樹脂ライニング材料を扱う当社も、密着性を向上させるための高品質なプライマーについて、特にこだわりを持っています。この徹底した下地処理とプライマーの選定により、耐久性と耐食性に優れた防蝕ライニングの品質が確保されます。

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樹脂ライニングの超厚膜塗膜

樹脂ライニング塗膜は、非常に厚い樹脂ベースのコーティングです。この種の塗膜は、高い水準の環境遮断性を求められ、耐久性と防蝕性を提供するために設計されています。

塗膜の厚さと耐用年数の関係性については別の記事にまとめてあります。以下のリンクから確認ができます。

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樹脂ライニングの主要な特徴

  1. 塗膜の厚さ:
    • 樹脂ライニング塗膜は通常、1ミリメートルから数ミリメートルの厚さで適用されます。これにより、表面に厚い保護層を形成し、長期にわたる耐久性を確保します。
  2. 耐薬品性:
    • これらの塗膜は化学薬品や腐食性物質に対する優れた耐性を持っています。これは、特に化学工場や排水処理施設など、厳しい化学的環境下で使用される設備にとって重要です。
  3. 耐熱性・耐候性:
    • 樹脂ライニングは高温や過酷な気象条件に対しても耐性を持ちます。これにより、外部環境の変化に強く、長期間にわたって性能を維持します。
  4. 物理的保護:
    • 強靭な樹脂ライニングは、機械的な損傷や摩耗から保護します。これは、高トラフィックの地域や頻繁に使用される機器に特に有益です。

樹脂ライニングは、その多様な特性を活かし、様々な種類の樹脂と施工方法を提供しています。これにより、特定の用途に最適な樹脂と工法を選択することが可能になります。この選択肢の幅広さは、樹脂ライニングの柔軟性と適応性を示しており、さまざまな環境条件や要求に応じて、最適な保護解決策を提供します。

樹脂の種類と、工法の種類については、以下のリンクから確認ができます。

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長期的な密着性能が重要な理由

樹脂ライニング塗膜は強固で耐久性が高いですが、永遠に持続するわけではありません。通常、劣化は最表面から始まり、腐食要因となる液体の透過によって徐々に進行します。腐食要因の液体が素地に達し、塗膜破壊に至るまでの期間を延ばす鍵は、素地とライニング皮膜との密着性です。この重要な役割はプライマーが担っています。したがって、初期の密着性が重要であると同時に、時間が経過しても安定して密着していることがより重要です。

塗膜劣化のプロセスと、安定密着の重要性を解説した記事を、以下のリンクから確認ができます。

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樹脂ライニングの理想的なプライマー

1.応力の分散機能

防食ライニング皮膜は塗布時に液状で、硬化する過程で体積収縮(硬化収縮)が発生し、皮膜内に引張応力が生じます。これにより、硬化後も皮膜内に残留ひずみ(ストレス)が存在し、実質的には剥がれる力に抗している状態になります。この残留ひずみは、塗膜が厚いほど大きくなります。

超厚膜塗膜は環境遮断性に大きな利点がある一方で、密着性においては不利となることがあります。したがって、超厚膜塗膜を効果的に支えるプライマーは、これらの問題に対応できる設計が必要です。

塗膜内の残留ストレス対策として、無機フィラーやフレーク材料を防食材料に加えることで、このストレスを効果的に分散させ、軽減する手法があります。このアプローチにより、硬化収縮を抑制すると共に、塗膜の耐久性が向上し、長期にわたる保護性能を実現することが可能になります。

有機材料に無機セラミックを配合するメリットについては、以下のリンクから確認ができます。

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様々な耐蝕性樹脂を使用したフレークライニング工法については、以下のリンクから確認ができます。

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2.弱体化した躯体の表面強化

コンクリートなどの躯体が既に腐食や劣化により弱体化している場合、超厚膜の樹脂ライニングを施工する際には注意が必要です。

分厚いライニング層は重量があり、弱体化した躯体ではその重さを支えきれずに剥落するリスクが生じます。そのため、超厚膜塗膜を支えるには、躯体表面の効果的な強化が不可欠です。この点で、プライマーが躯体表層に浸透し、しっかりと固着することによって表面を強化する機能は非常に重要になります。

コンクリートなどの硬く、多孔質な表面に深く浸透し、固着するタイプのプライマーを選ぶことで、分厚いライニング層を支えるために必要な表面の強化が実現します。

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超厚膜ライニング塗膜に最適なプライマーの紹介

1.RS#125プライマー(鉄面専用)

剛直で厚みのあるライニング膜を鋼製躯体に長期間接着させるためには、専用のプライマーが必要です。その役割を果たすために、樹脂ライニング専用RS#125プライマーは、鋼材とライニング材との間のストレスに対して柔軟性を持ち、両者に強力に接着する機能を有します。また、鋼材の施工では、ケレン処理後の錆び戻りを防ぐ一時防錆機能も欠かせません。

RS#125プライマーは、これらの要求を満たす樹脂ライニング専用のプライマーです。このプライマーは、鋼材とライニング材の密着を強化し、長期間にわたる安定接着と耐久性を提供します。RS#125プライマーは、厳しい条件下での使用にも耐えうる、信頼性の高い樹脂ライニングのためのプライマーとして最適な選択肢です。

RS#125プライマーの詳しい内容は、以下のリンクから確認ができます。

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2.RS#123プライマー(コンクリート/スレート/錆面)

コンクリートはその硬くてもろい性質と、隙間が多いポーラスな構造から、特別な取り扱いを要します。RS#123プライマーは、このようなコンクリートの特性に理想的に対応します。このプライマーは、ポーラス構造のコンクリートに深く浸透し、しっかりと固着することで、樹脂とコンクリートを一体化させ、剥がれにくい構造を作り出します。その結果、超厚膜ライニング塗膜の重さにも耐える強化された躯体を実現します。

また、錆びた鉄面にもRS#123プライマーは同様に効果的です。錆びやすい鉄面のポーラスな部分に浸透し、固まることで、錆の原因となる酸素や水分の侵入を阻止します。これにより、さらなる錆の発生を効果的に抑制し、長期的な保護を提供します。RS#123プライマーは、コンクリートや錆びた鉄面の強化と保護に理想的な解決策を提供します。

RS#123プライマーについての詳しい内容は、以下のリンクから確認ができます。

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ポリウレアライニング専用プライマー

ポリウレアライニングの超厚膜塗膜は、その独特な特性と施工方法で注目されています。この塗膜の主な特徴は、高い柔軟性と優れた伸び率を持つことです。これにより、さまざまな表面に対して柔軟な追従性と、防水性や耐衝撃性を提供します。

また、施工方法においても特徴的です。加熱された主剤と硬化剤を高圧で吹き付けることで、塗膜はわずか数十秒で硬化します。この迅速な硬化プロセスにより、短期間で広範囲の施工が可能となり、効率的な作業が実現します。

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ポリウレアライニングのプライマーは、その特有の性質と独特の施工方法に対応するため、特別な設計が必要です。特に、施工後の物性の変化を考慮することが重要です。当社はこの重要な課題に対処するため、ポリウレアライニング専用のプライマーを開発しました。このプライマーは、ポリウレアライニングの特性に最適化されており、施工後の性能を最大限に引き出すことができます。

  1. RS-タスクPUプライマー(鉄面用)
  2. RS-アクトPUプライマー(コンクリート用)

RSテックのポリウレア専用プライマーの詳細については、以下のリンクから確認ができます。

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まとめ

プライマーは、耐食ライニング層と構造体との密着を確保するために欠かせない役割を持っています。特に、重い樹脂ライニングを使用する場合、躯体にかかる負荷と塗膜自体の応力に対応する必要があります。適切なプライマーを使用することで、これらの問題を解決し、塗膜の耐久性と機能性を向上させることができます。

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樹脂ライニングにおける密着の課題に対応するため、弊社ではプライマーを含む樹脂ライニングの材料を提供しています。各プロジェクトに適したソリューションを提供するため、素地の状態や予定している耐蝕材に関する詳細を事前に確認します。必要に応じて、特別に設計された接着剤の開発も行います。

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