
RSJ#100特殊エポキシ樹脂は、優れた環境遮断性を持つ耐食ライニング材として、幅広い現場で採用されています。
この材料は、高い耐食性・防蝕性・耐久性を兼ね備えており、過酷な腐食環境下でも安定した性能を発揮します。さらに、他の樹脂材料と比較しても施工時の作業性に優れており、現場対応力が高い点が大きな特長です。防蝕性能だけでなく、施工効率や仕上がり品質を重視する現場において、RSJ#100は非常に有効な選択肢となります。
この塗料は、一度の施工で超厚膜塗布が可能であり、現場に応じて粘度の調整も柔軟に対応できます。増粘剤や珪砂、砂利を加えることで、パテ状に加工したり、樹脂ベースのモルタルを調合することも可能で、多様な補修・ライニング用途に適応できます。さらに、水中でも確実に硬化する性能を備えているため、湿潤環境下での欠損部の穴埋めや不陸調整などの補修作業にも最適です。
樹脂モルタルの基本知識については、以下のリンクから確認ができます。
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本記事では、RSJ#100エポキシ樹脂を用いることで実現する高い作業性に加え、現場での樹脂パテや樹脂モルタルの具体的な作成方法について詳しく解説します。これは、RSJ#100エポキシライニングの応用的な使い方に焦点を当てた内容であり、さまざまな施工環境における利便性と柔軟な対応力の高さを実感していただくことを目的としています。

(株)RSテックは、防蝕ライニング用樹脂の販売、防蝕設計、施工を一貫して行い、防蝕に関わるあらゆる問題解決を目指しています。お客様のニーズに合わせた最適な防蝕ソリューションを提供し、トータルサポートを通じて確かな安心をお届けします。
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RSJ#100を粘度調整してパテ材にするメリット

エポキシ樹脂は、硬化時の収縮が少ないという特長を持ち、寸法安定性に優れた材料です。中でもRSJ#100は、樹脂中に無機セラミック成分を高密度で配合しており、硬化時に発生する塗膜内部の応力(ストレス)を効果的に分散する性質があります。
このため、RSJ#100は増粘剤を加えてパテ状に加工し、厚膜で塗布する用途にも非常に適しており、欠損部の補修や下地の凹凸調整など、さまざまな場面で活用されています。

RSJ#100エポキシ樹脂は、用途に応じて性状を自在に変化させることができる多機能な防蝕ライニング材です。
通常はそのまま防蝕ライニング材として使用できるほか、増粘剤を加えることでパテ状に加工することも可能です。さらに、砂や骨材を併用することで、樹脂モルタルとしての使用にも対応でき、下地補修や厚膜成形といった多様な施工ニーズに応えることができます。
1種類の材料でライニング、穴埋め、ひび割れ補修、不陸調整まで幅広く対応可能な柔軟性こそ、RSJ#100の大きな特長です。
RSJ#100は、粘度調整によって基材の修復から防蝕ライニングまでを一製品でカバーできる、多機能なエポキシ樹脂材料です。
増粘剤や骨材の併用により、パテ状やモルタル状に変化させることができるため、別途パテ材を用意する必要がなく、樹脂同士の相性を気にすることもありません。
さらに、水中でも確実に硬化する特性を持つことから、湿潤環境下での補修やライニングにも対応可能で、適用範囲は非常に広く、現場での柔軟な対応を可能にする汎用性の高い材料です。
通常仕様のRSJ#100エポキシライニング工法については、以下のリンクから確認ができます。
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粘度調整に使用する増粘剤
1:ミルコン
ミルコンは天然に産出するフレキシブルな繊維状鉱物を加工した工業用増粘剤です。無機鉱物繊維ですので、不燃性であり長期安定性があります。
増粘剤としてのミルコンは、液体やペースト状の物質に添加され、その粘度を高めるために用いられます。この種の増粘剤は、材料の流動性を抑制し、塗布や加工時の扱いやすさを向上させるために使われます。樹脂、接着剤などに加えることで、塗布時のダレを防ぎ、より均一な塗膜を形成するのに役立ちます。
2:タルク
タルクは、滑石を細かく粉砕した無機粉末です。滑石は、地球のマントルに豊富に存在する鉱物です。白い粉末で、滑らかで柔らかい触感があります。
タルクは、塗料の増粘剤として広く使用されています。塗料の粘度を上げることで、塗料の流れを制御し、塗膜の厚みや平滑さを向上させることができます。また、タルクは、塗料の耐久性を向上させる効果もあります。
タルクは化学的に安定している増粘剤です。感覚としてはミルコンよりこしがあり、ダレ止めの効果は高いです。
RSJ#100パテ材作成手順


1:材料の準備
- 主剤: RSJ#100の主成分
- 硬化剤: RSJ#100の硬化成分
- 増粘剤: ミルコンやタルク
2:混合の手順
- 必要量の主剤と硬化剤を取り出す。
- 規定の重量比(主剤2:硬化剤1)で混ぜる。
3:増粘剤の添加
- ミルコンやタルクをRSJ#100に数回に分けて徐々に添加。
- 同時に攪拌して分散させる。
4:粘度調整
- 攪拌を止め、粘度を確認する。増粘剤の量を微調整して粘度を調整する。
- 色や質感が全体に均一であるかを確認して完成
5:注意点
- 主剤と硬化剤の重量比が不明にならないよう注意する。
- 均一に混ざるまでしっかりと攪拌する。
この手順に従うことで、RSJ#100を用いて効果的にパテ材を現場で作ることができます。混合比率を正確に守り、増粘剤を段階的に加えながら攪拌することが重要です。
一般的な塗料に増粘剤を加えることで、一時的にパテ状にすることは可能です。
しかしその場合、大量の増粘剤が必要になり、密着力の低下や硬化時の収縮による変形などの問題が発生しやすくなります。さらに、硬化不良やひび割れ、耐久性の低下など、施工品質に大きなリスクをもたらす可能性もあります。
このようなデメリットがあるため、一般的な塗料を無理にパテ材として使用することは、さまざまな施工トラブルの原因になりかねません。
その点、RSJ#100は無溶剤タイプであり、あらかじめ大量の無機セラミックを配合して設計されているため、粘度を高めてパテ状に加工しても、密着力や形状安定性が損なわれにくい構造になっています。
また、パテ化やモルタル化といった粘度調整を前提にした製品設計のため、増粘剤や充填材を加えても性能が安定し、施工品質をしっかり維持できます。
これにより、厚塗り補修や不陸調整などの下地処理から、防蝕ライニングまで一貫して対応できる多機能エポキシ樹脂として、RSJ#100は現場での使い勝手と信頼性を高いレベルで両立する理想的な材料といえます。
ただし、広範囲に数センチ以上の分厚い塗膜を形成する場合、つまりモルタル用途でRSJ#100を使用する際には、ミルコンやタルクと共に、珪砂や砂利を同時に添加することが必要です。これにより、材料の硬化収縮に伴う変形を効果的に防ぐと共に、この知識を理解することで、さらに多くの用途に適用可能となります。
広範囲の素地補修は珪砂や砂利を使用


珪砂や砂利の添加は、樹脂の性能を高めるための重要な工夫です。主な目的は2つあります。
まず1つ目は、不陸調整です。比較的大きな穴や広範囲にわたる凹凸のある下地に使用することで、表面を平らに整えることができ、均一できれいな仕上がりが得られます。
もう1つの目的は、塗膜の割れを防ぐことです。樹脂は硬化する際にわずかに収縮しますが、珪砂や砂利を加えることで、内部に発生する応力を分散・緩和し、ひび割れを防止する効果があります。
このように、珪砂や砂利の添加は、施工性の向上だけでなく、塗膜の耐久性を長期間維持するためにも有効な手段です。
樹脂モルタルの効果的な利用方法については以下のリンクから確認ができます。
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次に、滑り止め効果の付与です(防滑処理)。珪砂や砂利を加えることで、滑りにくい表面を作り出すことが可能になります。これは、歩行者の安全を確保するための施設や、滑りやすい場所で特に有効です。
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珪砂の種類と使用
5号珪砂と7号珪砂の特徴を表にまとめます。
番手 | 中心粒形(mm) | 質感 |
---|---|---|
5号 | 0.5 | 荒め |
7号 | 0.15 | 細かめ |
砂利を選択する場合
- 小径の砂利: なるべく小さな径の砂利を使用。
使用方法
- 珪砂/砂利の添加:
- 増粘剤で粘度調整をしていく際に、珪砂や砂利を同時に添加していくと、樹脂ベースのモルタルのような性状となります。比較的大きな穴や広範囲の凹凸の不陸調整が可能です。また滑り止め効果を付与することもできます。
- 均一に混合:
- 珪砂や砂利が均一になるよう攪拌。
- 水中硬化性利用:
- RSJ#100の水中硬化性を活かし、様々な環境で使用。

1度に厚く広範囲へ施工する場合、硬化時の収縮によって塗膜内部に応力(ストレス)が発生し、ひび割れの原因となることがあります。
しかし、RSJ#100はあらかじめ大量の無機セラミックを配合した設計となっており、これにより硬化収縮による内部応力を効果的に分散・緩和できます。
さらに、珪砂や砂利を添加することで充填性が高まり、応力の集中を抑制できるため、厚膜施工でも割れにくく、安定したライニング性能を発揮します。
RSJ#100は水中でも確実に硬化するため、湿潤面や水が残る環境でも使用でき、適用範囲が大きく広がります。
RSJ#100の粘度調整をした実際の施工用途の紹介

立上り隅部の下地調整
RSJ#100にタルクと珪砂5号を使用して粘度調整
構造物の立ち上がりや隅部には、パテ状に調整したRSJ#100を使用することで、すき間を確実に埋めながら適切な傾斜処理が可能です。
通常の粘度では、塗布した樹脂が厚くなりすぎてダレるリスクがありますが、パテ状にすることで塗布後の形状をしっかり保持でき、すき間を埋めつつ仕上がりも安定します。

大きい凹み部の不陸調整
RSJ#100にタルクと砂利(小粒)を使用して粘度調整
広範囲にわたる大きな穴や凹凸の平滑化には、珪砂や砂利を混合した樹脂モルタル状のRSJ#100が非常に効果的です。
施工現場に水たまりが発生する想定外の環境がありましたが、RSJ#100の水中でも硬化する特性を活かすことで対応が可能となり、不測の事態にも柔軟に対処しながら、無事納期内に施工を完了することができました。

タンク内面の穴埋め
RSJ#100にタルクを使用しパテ材にする
RSJ#100は、タルクを増粘剤として加えることで、ダレにくく“こし”のある粘り強い性状に調整することが可能です。
このしっかりとした粘度調整により、配管周りのすき間や部止め(樹脂による穴封鎖)など、流れやすい場所でも安定した施工が可能になります。
また、現場に応じて粘度を自在にコントロールできるため、ライニング・補修・封止といった多様な用途に柔軟に対応できる点が、RSJ#100の大きな強みです。

コンクリート床のヒビ割れ補修
RSJ#100にミルコンを使用しパテ材にする
ミルコンを増粘剤として使用することで、軽度の不陸調整やコンクリートのひび割れ補修に適した粘度に調整できます。
また、ミルコンは軽量で取り回しやすく、現場での持ち運びや混合作業も容易なため、扱いやすさという点でも大きな利点があります。
手軽に使える補修用として、施工性と作業効率の両立を実現できます。

RSJ#100は、湿潤環境下でも確実に硬化し、多様な化学薬品に対する高い耐性を備えた高性能エポキシ樹脂です。
これまで、パテ材や樹脂モルタルとしての柔軟な施工性を活かし、さまざまな補修や下地調整に対応できる点をご紹介してきましたが、構造的な強度が求められる用途には、FRP(繊維強化プラスチック)仕様のRSJ#100を採用することでさらなる高耐久化が可能です。
このように、RSJ#100は「水分下でも使える」「薬品に強い」「粘度調整で多用途対応」「強度確保のためのFRP化」といった多彩な機能を1製品に集約しており、補修から防蝕ライニングまで一貫して対応できる汎用性の高さが、他の樹脂と比べた際の大きな優位性となっています。
RSJ#100(エポキシ樹脂)を使用したFRP仕様の内容は、以下のリンクから確認ができます。
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メンテナンス工事では、新設工事とは異なり、下地の劣化状態や環境条件が現場ごとに大きく異なるため、柔軟かつ的確な対応が求められます。
RSJ#100は、ヒビ割れや欠損の補修、旧塗膜の剥離後の処理など、状態に応じてパテ材・樹脂モルタル・ライニング材として使い分けが可能であり、水分を含む下地や湿潤環境でも安定して硬化します。
これにより、作業の手戻りを防ぎつつ、短時間で高品質な補修・再施工が可能となり、現場の作業効率を大きく向上させます。RSJ#100は、こうした多様な現場課題に即応できる高い作業性と柔軟性を備えた多機能型エポキシ樹脂として、防蝕メンテナンスにおいて非常に有効な材料です。
腐食から大切な設備を守る:
(株)RSテックは、防蝕ライニング専用の樹脂販売、防蝕設計、各種防蝕ライニング施工まで、一貫したサービスを提供しています。お客様のニーズに最適な防蝕対策をトータルにサポートいたします。
主なサービス内容
- 防蝕ライニング専用樹脂の販売
- 豊富な種類と実績から、最適な樹脂をご提案。ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂
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- 防蝕設計
- 腐食環境や設備の用途に合わせた最適な設計
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