
無機酸や有機酸による腐食リスクは、化学工場や薬品貯蔵施設における構造物の健全性に直接影響を及ぼします。こうした環境下では、防蝕設計を通じて設備の寿命を延ばし、重大な劣化や事故を未然に防ぐことが極めて重要です。特に、酸性物質による腐食は進行が早く、経年変化とともに見えない部分から劣化が進行することもあります。
本記事では、防蝕設計において注目すべき「無機酸」「有機酸」の腐食特性について詳しく解説し、それぞれに対応するための樹脂ライニング技術や材料の選定方法について、株式会社RSテックが提供する製品を踏まえながら紹介します。無機酸・有機酸・防蝕という3つの観点を軸に、施設の長寿命化を実現するための対策を明確化します。
(株)RSテックは、防蝕ライニング用樹脂の販売、防蝕設計、施工を一貫して行い、防蝕に関わるあらゆる問題解決を目指しています。お客様のニーズに合わせた最適な防蝕ソリューションを提供し、トータルサポートを通じて確かな安心をお届けします。
以下のリンクから、(株)RSテックの製品ラインナップとカタログをダウンロードできます。
無機酸による腐食の特徴と防蝕設計

無機酸は、硫酸・塩酸・硝酸といった強酸を代表とする酸性物質で、工場設備や貯蔵タンクなどの金属材料やコンクリート構造物に対して、激しい腐食作用を示します。水に溶解して完全に電離し、強力な水素イオン(H⁺)を放出することから、局所的な腐食だけでなく広範囲にわたる腐食進行を引き起こします。
主な無機酸と腐食の傾向:
- 硫酸:脱水作用が強く、鉄や銅などの金属と反応して急速な腐食を促進します。
- 塩酸:揮発性が高く、ガス状でも設備全体に影響する恐れがあります。
- 硝酸:強酸性と同時に酸化力も併せ持ち、特殊鋼や非鉄金属にも局所腐食を引き起こします。
このような無機酸への対策としては、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、セラミック系塗料など、耐薬品性に優れた樹脂ライニングを使用することが効果的です。また、配管内部やコンクリート槽などでは、施工後の定期点検と補修計画を立てることも重要です。
関連記事:
有機酸の腐食性と樹脂への透過性リスク

有機酸は、酢酸・乳酸・クエン酸などのカルボン酸を指し、比較的穏やかな腐食性で知られています。しかし、有機酸の最大の課題はその「透過性」にあります。分子サイズが小さく親水性も高いため、樹脂材料を容易にすり抜けて基材に到達し、防蝕効果を損なう危険性を持っています。
有機酸が防蝕に与える主な影響:
- 透過浸食:
- 樹脂コーティングの分子間隙を通って、内部の金属やコンクリートに接触し腐食を引き起こします。
- 塗膜の化学的劣化:
- 有機酸の影響により塗膜が膨潤・脆化し、性能が劣化する場合があります。
- 潜在的なコンクリート劣化:
- 目に見えない微細孔から侵入し、長期的に内部から劣化を進行させます。
有機酸の防蝕対策には、非透過性の高い高密度樹脂の使用や、多層構造のバリア設計が推奨されます。特にビニルエステル系樹脂や架橋型エポキシ樹脂は、透過性の抑制と長期的な耐性を兼ね備えています。
無機酸・有機酸への防蝕ソリューションとしての樹脂ライニング

RSテックでは、無機酸や有機酸による腐食リスクに対応するため、さまざまな条件に適した樹脂ライニング工法を展開しています。防蝕を目的とした樹脂ライニングは、高密度、耐薬品性、機械的強度など、複数の要件を満たす必要があり、施設ごとの使用条件に応じた最適化が求められます。
関連記事:
防蝕を強化するための主なアプローチ:

- 耐薬品性樹脂の選定
- 無機酸・有機酸に対し、高耐蝕エポキシ系、フッ素系やビニルエステル系など、優れた耐性を持つ樹脂を採用。
- クロスリンク構造(架橋)による耐久性向上
- 分子構造を緻密化し、透過性のある有機酸の浸透を抑制。
- 多層ライニングおよびバリア層技術
- 複数の塗膜を組み合わせて形成することで、透過経路を遮断し、化学物質への長期耐性を実現。
- フレークライニング
- ガラスフレークやセラミックフレークを含む層状構造によって、特に有機酸に対するバリア効果を強化。
関連記事:
RSテックの製品と施工技術で実現する防蝕対策

株式会社RSテックでは、無機酸・有機酸の双方に対応可能な多様な防蝕ライニング材と、現場条件に応じた最適な工法を組み合わせて提供しています。
主な製品ラインナップ

- RSJ#100 無機セラミック配合ライニング
- 無機酸・有機酸に強い耐性。セラミックの高密度配列により、透過を物理的に防御。
- RS#300高機能ビニルエステル系樹脂
- 耐酸性・耐溶剤性に優れ、重負荷のかかる施設に対応。
- フレークライニング工法
- 各種フレーク材料の積層によって、化学物質の侵入を大幅に遅延。
これらの技術は、防蝕・耐酸性の信頼性を向上させると同時に、メンテナンスサイクルの長期化やコスト削減にも寄与します。
まとめ:無機酸・有機酸に強い防蝕設計の実現へ

無機酸と有機酸の腐食リスクを理解し、それぞれに適した防蝕対策を講じることは、施設の健全性と運用効率を維持するうえで不可欠です。RSテックでは、無機酸・有機酸・防蝕の3つの観点を軸に、科学的根拠に基づいた材料提案と施工技術を通じて、現場ごとの課題に即した最適なソリューションを提供しています。
腐食から大切な設備を守る:
(株)RSテックは、防蝕ライニング専用の樹脂販売、防蝕設計、各種防蝕ライニング施工まで、一貫したサービスを提供しています。お客様のニーズに最適な防蝕対策をトータルにサポートいたします。
主なサービス内容
- 防蝕ライニング専用樹脂の販売
- 豊富な種類と実績から、最適な樹脂をご提案。ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂
- 高性能・高耐久な樹脂で、設備を長期的に保護
- 防蝕設計
- 腐食環境や設備の用途に合わせた最適な設計
- 専門知識と経験に基づいた、確実な防蝕対策
- 各種防蝕ライニング施工
お気軽にお問い合わせください
防蝕対策に関するご相談は、(株)RSテックにお任せください。専門スタッフが、お客様のニーズに最適なソリューションをご提案いたします。
お問い合わせ:
資料請求・お見積り・ご質問等ありましたら、お気軽にお問合せフォームよりお願い致します。
-
無機酸・有機酸における腐食対策と樹脂ライニングの重要性
無機酸や有機酸による腐食リスクは、化学工場や薬品貯蔵施設における構造物の健全性に直接影響を及ぼします。こうした…
-
樹脂モルタルによるコンクリート防蝕の基礎知識|施工ポイントと耐久性アップの秘訣
コンクリート構造物は、酸性雨、化学薬品、塩害などの過酷な環境条件にさらされることで劣化が進行し、構造物の安全性…
-
耐食性樹脂を使用した樹脂モルタルの防蝕ライニング活用術
耐食性を有する樹脂を使用した樹脂モルタルは、防蝕ライニングとしての用途で特にその価値を発揮します。プラント設備…
-
RSJ#100エポキシライニング工法の魅力と選ばれる理由
近年、老朽化した化学プラントの設備を保護するため、腐食や劣化に強い樹脂ライニング工法が注目されています。特にR…
-
コンクリート防食の必要性と樹脂ライニング工法の種類(株)RSテック
コンクリートの腐食防止は、建築物や構造物の長期維持にとって非常に重要です。この記事では、コンクリート構造の多孔…
-
RS#123を使用したコンクリート強化と様々な効果
目次 RS#123の紹介 プラントメンテナンスの防蝕は、躯体強化ができるRS#123と水中硬化性が特徴のRSJ…
-
FRPライニングとフレークライニングで広がるRS#200の用途
FRPライニング基本と防食技術について詳しい内容は、以下のリンクから確認ができます。 関連記事: フレークライ…
-
防蝕ライニング材料に着色したくない理由と塗料の鮮度について解説、RSテックのこだわり
(株)RSテックの防蝕材料は鮮度を重要視しているため、受注生産にこだわりがあります。
-
耐酸性と耐溶剤性を高める!RSテックのビニルエステルライニングシステム
目次 過酷な化学環境にさらされる設備には、一般的な塗装やライニングでは対応しきれない場面があります。特に強酸や…
-
RSJ#100:水中硬化性を利用した防食ライニング
防蝕ライニングは、構造物を腐食から守るために欠かせない重要な役割を果たします。既存構造物のメンテナンス時には、…